特集

今こそ学びを止めてはいけない!子どもの主体性を育む先生の役割

2020年9月3日

今こそ学びを止めてはいけない!子どもの主体性を育む先生の役割

新型コロナウイルス感染拡大の影響で臨時休業になっていた学校が再開した6月。
「良い意味でも悪い意味でも日常が戻って来つつあります」と話す御所市立大正小学校 中西省五先生に、現場の状況とこれからのICT活用教育についてお話を伺いました。
※本特集では換気、手指消毒など感染予防を施し取材しています。

今こそ学びを止めてはいけない!子どもの主体性を育む先生の役割

《教えてくれたのは》
御所市立大正小学校
中西省五先生

6年前からICT活用教育に関わり、教育関係者によるオンライン授業展示会「これからのみんなの授業展」にも参加。全国の先生たちと情報共有を進めながら、子どもたちに教育の選択肢を提示するため奔走している。学校では御所市がいち早く準備した飛沫防止ガードを一人ひとりの机に取り付けて授業を行っている。

今こそ学びを止めてはいけない!子どもの主体性を育む先生の役割

 

日本の公教育の良さを残し
選択肢を拡げることが必要

 日本の公教育は、全ての子どもに学びの機会を保障しており、全国どんな場所でも同じ教育を受けることができる。その中で教師は、すべての子どもに対して100でなくても、限りなく100に近づけようと努力する。そのような日本の教育は素晴らしいし、間違ってはいない。日本の識字率の高さも、こういった日本の教育システムのもと、読み書き計算の能力を、がんばって習得させてきたからだ。

 しかし、これからの教育に求められるのは「選択肢を拡げてあげること」だと中西省五先生は話す。子どもの成長速度は個々に違うもの。今はその子に合った学習内容を提示することが必要とされている。例えば、従来の方法で学習内容を提示する場合、子どもに合わせてバラバラの内容を教員が用意しなければならない。しかし、今後ICTを活用すれば、子どもたちが自分で学習内容を選ぶだけで完結することができる。今までは、授業の中で子どもの習熟度を把握し、考え、作り、渡し、実践するという時間のロスがあった。ところが「テクノロジーがあれば、それも容易くできるはず」と中西先生は情報化が進む教育の未来に期待を寄せる。

今こそ学びを止めてはいけない!子どもの主体性を育む先生の役割

地域ごとで特色が違う
必要なのはスピード感より対応力

 すでにオンライン授業を導入している学校のニュースを耳にして、「うちの子の小学校は遅れている」と思っている保護者もいるかもしれない。しかし中西先生は「早いからいいというものではないはず。臨時休業で授業がストップしているという状況下では、スピード感が求められた。そのため、先陣きっているところが大きくクローズアップされたんだと思います」と話す。現在、オンライン授業における統一のガイドラインはまだない。教職員の中には、時間がかかっても一軒一軒家庭訪問して教えるべきという考えの先生もいるという。しかし新型コロナウイルス感染拡大の状況次第では、家庭訪問が禁止になることも考えられる。

 今、求められているのは、そういった状況も踏まえて準備をしておくことだろう。「学校現場もガイドラインを示してほしいと思っているのは事実。ただ一方で、こうしましょうと決められてしまうと、それ以外の方法をとれなくなってしまう。地域によって状況は違うので、それはそれで問題がある」。教師という教育のプロの立場にあるからこそ、子どもたちや保護者、地域を見て、より良い方法を模索し、必要に応じて変えていかなければならない。

 「教師にはそれぞれのカラーがあって、画一であってはならないもの。同じ学年でも違う学校に行けば、これまでのやり方が通用するとは限らない」と中西先生。臨機応変な対応は、新型コロナウイルスに関係なく、普段も同じということだろう。

 

自然災害も多い日本
いざという時のために準備を重ねていく

 大正小学校では臨時休業になった時に備えて、複数のクラスでWEB会議ツール「Zoom」をつないだり、奈良県で1人1アカウントの付与が始まった「G Suite for Education」を使ってログインしたり、練習を開始する予定だ。中西先生は、「つなぐことさえできれば、あとはやっているうちに慣れていくはず。臨時休業期間中にZoomにチャレンジしたけれど、導入段階でくじけてしまった子もいる。学校で練習しても自宅で100%うまく行くとは限らない。しかし、一度やっているのとやっていないのとでは全然違う」と話す。

 新型コロナウイルスに限らず、警報で学校が休みになったとしても、全員が使えるようになっていたら、連絡事項や課題の指示などに使うことができる。最初は「今日の朝食は何を食べましたか」という質問に答えてもらうだけでもいい。それを積み重ねていくことが何より大切だろう。

オンライン授業などのICT活用
重要なのは前に進むこと

 実際にオンライン授業を取り入れる場合、小学生の子どもが45分間、集中して画面に向かっていられるだろうか。授業として成立させるには、「仕組み」と「先生の役割」という2つの側面から整理する必要があると中西先生は話す。「家の中は誘惑もあり、子どもたちの集中が続かない家庭もあるだろう」。確かに、学校と同じ環境を自宅で担保することは簡単ではない。

 学年や科目、状況に応じて「リアルタイムのオンライン授業」「あらかじめ作っておいた動画を見せる」「課題を先に渡しておいて取り組む」など、いろいろなパターンのオンライン授業を考えていく必要がある。「やってみて失敗したら修正すればいいし、うまくいかない子には、フォローの方法を考えればいい。まずは動かないと」。何もせずに止まっているより、よっぽど良い。保護者の立場としても中西先生の言葉に納得する人は多いだろう。

 

教師はティーチングよりコーチング
主体的に学べるよう導くのが仕事

 6月28日に開催された教育関係者によるオンライン授業展示会「これからのみんなの授業展」に参加した中西先生。小学生向けの「行ってビックリ?地元の子どもが案内するバーチャル奈良修学旅行」という授業をZoomで行ったところ、ライブ配信で100人以上の子どもたちが全国から参加してくれたという。

今こそ学びを止めてはいけない!子どもの主体性を育む先生の役割

 「今後も全国の先生方と幅広く交流して、目の前の子どもはもちろん、多くの子どもたちが、どんな状況でも学べる環境を作っていきたい。理想は、教師がいなくても子どもの学びが止まらないこと。子どもたちには、本当の意味で主体的に学んでほしい。自分たちの未来を作っていくために、子ども自身がどうすべきかを考えていかなければならない」と中西先生。学びの選択肢を拡げるためのICT活用教育が本格始動したことを感じずにはいられない。

今こそ学びを止めてはいけない!子どもの主体性を育む先生の役割

今こそ学びを止めてはいけない!子どもの主体性を育む先生の役割

[1][2] まずは、参加してくれた全国の子どもたちに中西先生のいる御所市立大正小学校をGoogle Earthで紹介。上空から、日本→奈良県→御所市→小学校とクローズアップされていきます。

[3] 修学旅行で行くような奈良の有名な歴史的建造物や観光地を映像で紹介。中西先生がガイドをつとめます。

[4] 参加した子どもたちからみんなに向けて質問や感想を伝えます。上手に奈良の絵を描いてくれた子も。