特集
暮らしが変わる、学びが変わる。自ら学ぶ力を引き出す
2020年9月8日
いち早くタブレットを活用した在宅学習システムを導入したことで注目を集めているチャイルドスクール。
時代を見据えて、子どもがおもしろいと思うコンテンツを提供し続ける塾長の乾勝善先生にお話を伺いました。
※本特集では換気、手指消毒など感染予防を施し取材しています。
《教えてくれたのは》
乾 勝善
チャイルドスクール塾長。アナログとデジタルを融合させた乾式そろばんメソッドを開発。天才児を輩出するそろばん教室としてメディアにも多数取り上げられている。教材の開発・提供も行い、全国から視察が絶えない。30年そろばん指導に携わり、卒業生は1万人を超える。
圧倒的なスピード感で
在宅・教室・在宅+教室の3体制に対応
新型コロナウイルス感染拡大の影響で休業を余儀なくされたり、否応なくオンラインを導入したり、指導・運営のスタイルを変更した習い事教室は少なくない。そんな中、天理のそろばん教室・チャイルドスクールは、教室での学習と在宅での学習を併用できるように、短期間で準備を整えたという。
「今回は本当に危機感を感じました」と塾長の乾勝善先生は話す。対面で指導するスタイルを残しながら在宅学習を導入するにはどうすれば良いか。まず、家庭でタブレットやパソコンを準備する必要がないよう、1人1台のタブレットを無償で貸し出すことを決定。在宅学習でもスムーズに次の学習へ進めるようにするため、そろばん指導動画を作成し、メイン教材である「珠算・暗算学習総合アプリ」に2問間違えるとAI先生が、やり方を教えるフォロー機能を追加した。「悩んでいるだけでは前に進まない。成功するかどうかは分からなかったが、方向性だけ決めたらあとは準備を進めるだけだった」と乾先生は笑う。結果、ほかの習い事との両立や遠方で通えないといった問題が解決したこともあり、入会を希望する子どもたちが増えているという。
子どものやる気を生み出す仕掛け
アイデアで一歩先を行く
しかし、在宅学習で子どもが集中力を維持するのは簡単なことではない。「やりなさい!」と言われて嫌々タブレットに向かっているだけでは、逆にそろばん離れに拍車をかけてしまうかもしれない。そこで「子どもが自ら学ぶ仕掛けが必要」と考える乾先生が考案したのは仮想通貨のPayサービス。タブレットの電源を入れるたびに、くじが出てきたり、1問正解するごとに仮想通貨を貯めたりすることができる。仮想通貨が貯まると、人気アニメの関連グッズや文房具など、好きなアイテムと交換できるというシステムだ。子どもたちは休校期間中でも「自分で勝手に電源を入れて在宅学習を進めている」と保護者からも喜ばれているという。
対面指導×デジタルコンテンツの融合
人間味のある教材づくり
タブレットを導入した同スクールだが、今後、学校はもちろん、民間の塾やスクールでもオンライン学習が進んでいくため、子どもたちのネット疲れが気になるところ。「当スクールのタブレット学習はインターネットに繋がずオフラインでも学習できるように作っています。そして、やっぱり対面指導は大切。人間味のある部分とデジタルコンテンツとがうまく融合する教材を開発していきたい」。少ない回数で最大の効果を得るようなカリキュラムづくりに注力する乾先生は、すでにコロナ後の未来を見据えている。