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【玉井式子育て教室I】-Vol.01- 幼児期からの教育「体験と言葉をつなげる」とは?

2021年7月9日

【玉井式子育て教室I】-Vol.01- 幼児期からの教育「体験と言葉をつなげる」とは?

これからの子どもたちは、これまでよりも世界に目を向けなければいけない時代を生きることになります。今のままの教育で良いのか、変わっていかなければいけない点は何なのか。グローバル時代を生きる子どもたちの成長のために、どのような価値観が必要なのでしょうか。
何のために教育するのかという、教育の価値観をしっかり持って、「親が笑顔でいること」「子どもへ何よりも愛していると伝えること」そして、「花(成果)を咲かせることだけでなく、丈夫な根っこ(土台)を育ててあげること」を大事にする。そう言うのは、「世界に負けない子に育てる」教育を提唱し、独自の能力育成教材を開発し続けてきた玉井満代先生。

玉井先生の考える子育てと教育について、48回にわたり、さまざまな視点でお届けします。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

《教えてくれたのは》
(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ
代表取締役 玉井満代さん

京都市生まれ、ICT教材クリエイター・脚本・演出家。20年にわたる全国数百の学習塾での指導経験を生かして、学校、またインド、ベトナム、シンガポール等で続々と導入されている「玉井式 国語的算数教室®」「玉井式 図形の極®」など、パソコン・タブレットを使用して学習する教材を全国展開。2021年現在、日本全国で24,000人が学習しており、有名私立小学校・大手学習塾・幼稚園・保育園及び学童などで広く活用されている。また、インド著書には「世界に出ても負けない子に育てる」(青春出版社)他。国内外での年間講演回数は120回(2018年度)を超える。洛南高等学校附属小学校で「玉井式 図形の極®」が授業カリキュラムとして取り組まれている。また、2021年度より、奈良育英小学校の副校長に就任。

>> TAMAISHIKIオフィシャルサイト
>> 奈良育英小学校

 

– 編集部 −
第1回目のメインテーマは「知覚」。単なる知識の集積ではなく、それらをつなげる習慣を幼児期までに作っていくことが大切だという玉井先生。
先生が重要と考えるこの「つなげる」教育について、伺いました。

“つなげる”という価値観

高校生になると、急に数学が嫌になったり、できなくなったりする子がいます。
日本は中学入試用(10〜11歳)の算数では、世界一難しい課題に取り組んでいて、すごく高度なことをしているんです。そのまま理数系に進めるはずのことをしているのに、それにも関わらず理数系の人材はどんどん減っている。能力的にはできるのに、苦手でできないと思う人がいる。それはなぜなのでしょう。

これは、幼児期からの親の価値観が関わっていると、私は考えています。

まず、高等数学ができない理由はいくつかあります。

公式や定理を覚えていない
公式や定理の知識が表面的
計算処理がスムーズにできない

① は、そもそも数学が好きじゃない可能性があります。
② は、公式や定理だけを表面的に覚えて、その意味は理解していない場合があります。
③ は、計算が早い遅いということではなく、どの切り口から解くと効率的かというセンスも必要なので、得手不得手があるでしょう。

これらは、後からでも努力したり、深く勉強したり、センスを磨けばできることです。

しかし、問題なのは、

公式や定理を組み合わせて使えない
組み合わせる公式や定理をスムーズに引き出せない

の2点だと考えています。

④ は、いろいろ学んできた公式や定理を組み合わせて解くということ。
⑤ は、およそこの公式かな?という推測を立てて、スムーズに引き出せるかどうか。

実は、高校になると、複数の公式や定理を組み合わせて解くレベルになります。ですので、一つひとつ記憶しているだけでは、高校以降の数学ができなくなってしまうのです。

このようなとき、幼児期から“知識と知識をつなげる力”を育んできたかどうかで違いが出るんです。

より良くアウトプットするために
(インプット情報の処理)

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

子どもたちは、たくさんのインプット(知識、言語、文化、理論、価値観、教養など)をしながら成長します。
インプットがあってこそ、アウトプット(伝える力、答える力、行動力)につながります。

しかし、インプットしただけでは、アウトプットにつながりません。
インプットしたものにまつわる様々なことが、子どもたちの思考の中でつながってこそ、“使えるアウトプット”となり、知識の価値があるのです。

例えば、幼稚園児くらいでも国旗を見て国名をたくさん言える子がいます。でも、それだけでは意味がありません。
その国がどこにあって、その国の人はどんな言葉を話して、どんな暮らしをして、何を食べているのか、どんな文化があるのか・・・と、興味が発展していく、それが“知識と知識をつなげる力”です。

計算問題をやり方だけでどんどん解く、漢字や国旗を覚えるだけといった方法に重きを置くのではなく、何をやっても「つなげていくこと」を意識すること。
子どもにとっての本当の能力開発は、知識を知っている、覚えているではなく、知識が「つながっている」かどうかです。

そのためにも、お母さん、お父さんは、どういった価値観をもって、子どもを育てていくのかを、一度じっくりと考えてみてください。
学力の高い学校に行かせることが良いのでしょうか?自分の子どもに合った教育を探してあげることが良いのでしょうか?

「何のために教育するのか」
「教育の価値をどこに見るのか」

これは、子どもが大きくなってから考えるだけではなく、小さい頃から、その素地を親がしっかり決意することが大切だと思います。

 

思考のふくらみにつながる「知覚」とは?

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

知識をつなげるのに重要なのが「知覚」。
(知覚とは、実際の体験で見たもの、聞いたもの、感じた温度や情報など)

例えば、スクリーンに映し出した映像で見るバーチャルな山と、実際に山に行って、空気を感じたり、香りを感じたり、一緒にいる家族の笑い声や様子を見たり聞いたりしながら感じる山とでは、思考のふくらみが違います。

他にも、猫の絵を見せると、子どもたちは「猫」と覚えることはできます。しかし、実際の猫を触って、動きを感じたり、匂いを嗅いだりすることで、思考がふくらんでいく
そして、例えば「家の屋根の上に猫がいる」という文章を読んだとき、絵を見たときにどう思うか。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

実際の体験から思考にふくらみを持っている子どもたちは、
「何をしているのかな?」
「困っているのかな?」
「寝ているのかな?」
「降りられるかな?」
「助けたほうが良いのかな?」

と想像力を働かせます。

日常生活や本からいろんな言葉をインプットした子どもたちは、猫を触って現実に体験した「柔らかいな」「ひげがツンツンしている」「丸くなったよ」「こんな匂いがするんだね」など、五感による「知覚」によって、言葉とイメージがつながります。バーチャルなものだけでは習得できないのが、この思考のふくらみ

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

この思考のふくらみが育っているからこそ、表現力や行動力、実行力といったアウトプットとなる。ひいては、問題解決力や意思決定力、分析能力、クリエイティブにつながっていくのではないでしょうか。

そのため、できるだけ幼児期には、実際に触らせたり、本当の体験をさせたりすることが大切で、それらが将来においても非常に影響があるといえます。

「知覚」を育む習慣をつける

例えば、お母さんが種をとり、切った状態でメロンを子どもへ出すと、切ったメロンが「メロン」になります。一方、子どもにまるごとのメロンを触らせて、切る、種を出すところを見せるだけで、立体感、重さ、感触、匂い、切るときの音、すべてを脳に吸収して「メロン」として認識するようになります。

このような体験に言葉がともなってくると、子どもは自然と覚えていきます。
ですので、お母さん、お父さんに意識してほしいのが、“言葉のシャワー”を普段の日常生活でかけてあげること。

雨が降っていたら「雨がしとしと降っているね」
夕焼けを見て「空が橙色だね」
キュウリやトマトを見て「みずみずしいわね」

と、“言葉のシャワー”とともに体験させてあげると、幼少期の脳では、知らない言葉でも知覚として吸収していきます。これらのタイムリーな言葉がけによって、感覚で覚え、辞書で調べなくても、将来使える言葉となっていくのです。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

このような、思考をふくらませる知覚体験とは、なにもキャンプやリゾート、海へ行くなど、素敵なことをしないといけないのではありません。普段、身近で起こっている出来事に、親が子どもに目を向け、言葉をかけることで、子どもの知覚を育てることはできます。

実際、おじいちゃん、おばあちゃんと同居している子どもたちは、語彙数が多いという調査結果があります。おじいちゃん、おばあちゃんは、いつも知らず知らずのうちに、子どもたちに言葉のシャワーをあびさせてあげているからだと推測できます。

言葉を聞くということと体験が一緒になっている「知覚」
この知覚が“知識をつなぐ”こととなり、最強の思考のふくらみになっていきます。

教育とは、小さいころからのお母さん、お父さんの日常の声かけから始まっています。
幼児期はとくに、親の影響が大きい時期。
ぜひ、お子さんに目を向け、たくさん話しかけてあげてくださいね。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

 

次回の「Vol.02」は7月16日(金)にお届けします。お楽しみに!