特集

【玉井式子育て教室I】-Vol.04- すべての子どもたちに可能性がある

2021年7月30日

【玉井式子育て教室I】-Vol.04- すべての子どもたちに可能性がある

これからの子どもたちは、これまでよりも世界に目を向けなければいけない時代を生きることになります。今のままの教育で良いのか、変わっていかなければいけない点は何なのか。グローバル時代を生きる子どもたちの成長のために、どのような価値観が必要なのでしょうか。
何のために教育するのかという、教育の価値観をしっかり持って、「親が笑顔でいること」「子どもへ何よりも愛していると伝えること」そして、「花(成果)を咲かせることだけでなく、丈夫な根っこ(土台)を育ててあげること」を大事にする。そう言うのは、「世界に負けない子に育てる」教育を提唱し、独自の能力育成教材を開発し続けてきた玉井満代先生。

玉井先生の考える子育てと教育について、48回にわたり、さまざまな視点でお届けします。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

《教えてくれたのは》
(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ
代表取締役 玉井満代さん

京都市生まれ、ICT教材クリエイター・脚本・演出家。20年にわたる全国数百の学習塾での指導経験を生かして、学校、またインド、ベトナム、シンガポール等で続々と導入されている「玉井式 国語的算数教室®」「玉井式 図形の極®」など、パソコン・タブレットを使用して学習する教材を全国展開。2021年現在、日本全国で24,000人が学習しており、有名私立小学校・大手学習塾・幼稚園・保育園及び学童などで広く活用されている。また、インド著書には「世界に出ても負けない子に育てる」(青春出版社)他。国内外での年間講演回数は120回(2018年度)を超える。洛南高等学校附属小学校で「玉井式 図形の極®」が授業カリキュラムとして取り組まれている。また、2021年度より、奈良育英小学校の副校長に就任。

>> TAMAISHIKIオフィシャルサイト
>> 奈良育英小学校

 

– 編集部 −
第4回目のメインテーマは「子どもの可能性」「根っこを育てる」。
子どもの行動と子ども自身はイコールではありません。子どもは大人をミラーリングします。良い子、悪い子という見方は大人の都合によることもあります。
また、人生に何があっても、立ち直って頑張れるためには、子どもの「根っこ(土台」)を育てることが重要です。
そのために親はどう考え子どもを育て、教育していけば良いのかを玉井先生のお考えを伺いました。

子どもの可能性を伸ばすのは
周りの大人次第

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

私は、和歌山県田辺市の田舎で塾をしてきました。今でこそ「玉井式」を知ってもらえる塾になりましたが、当初、アパートの一室で生徒一人から始めたときは、大手の塾で「あなたは入れません」「高校入試は無理です」と言われたような子を、親が泣く泣く連れてくるような塾でした。態度が悪くて「もうやめろ」と言われたり、どこの塾でも引き取ってもらえなかったりする子どもたち。でも、中学校で態度が悪くても、ちゃんと塾には来るんですよ。本当に嫌なら無理に来なくていいわけですから。

子どもたちもわかっているんです。学校では成績が伸びないし、親からも叱られて、素直に「はい」なんて言えないけれど、自分でも何とかしたいと思っている。だから塾には来るんです。そんな彼らを見て「可愛いな」と思っていました。そう思って接していると、子どもたち自身、どんどん素直になって実際に可愛くなってくるものです。
ミラーリングといって、子どもたちは大人の気持ちの鏡でもあるなと思います。学校では態度が悪くても、塾では「先生!なんか成績上がったわ〜」と報告してくれるようになりました。「良かった!できたじゃん。絶対できると思っていたよ!」と言うと、コソコソともっと頑張って勉強したりします。

前回のコラムでも言いましたが、大切なのは「この子はこういう子だと決めつけない」こと。大人が決めつけたらそういう子になってしまいます。特に社会に出る前の子どもたちはそうなんですよ。2000人以上教えてきて本当にそう思います。親御さんや先生には、ぜひとも「この子はこういう子」と決めつけないでほしいです。「今」そうなだけ。
いつも私は親御さんに「大丈夫ですよ。子どもはみんな良い子です」と言っています。みんな魂を持って生きていますから。

子どもの可能性を信じてあげて

元々、子どもには可能性がいっぱいあります。成長過程において表現の仕方が間違っているだけであって、例えば、うるさくしてしまうのも一時的な社会性の問題じゃないですか。その子自身が悪いわけではない。静かにしないといけなかったとき、相手が傷つく言い方をしてしまったとき、そういったことは、学んでいけば良いだけです。その子を全否定してしまうと、その子は「自分が悪いやつ」だと思い込んでしまう。 「言い方が悪かったよね」「間違えたよね」それで良いと思います。やんちゃしている子も「やんちゃ」として表現していますけど、認めて欲しいところがあるからであって、大人はそれが何なのかを気づくことが必要だと思いますね。

叱り込んで「人に迷惑をかけるな」と言いますが、そもそも迷惑をかけずに生きてきた人なんて一人もいないと思っています。大人でも自然と迷惑かけるじゃないですか。その時は「迷惑かけてごめんなさい」でいい。もっとシンプルに伝えたほうが子どもも納得してくれる。子どもを全否定するような「前もこんなことあったよね」「いくら言ってもできない」「何回言わせるの?」、そういった言葉は傷ついていきますよね。

以前、警察沙汰になったような子も預かっていて、その子は中学を出てから漁師になりました。その後、塾の本校を新築したのですが、ある日、名前もない発泡スチロール箱が建物前に置いてありました。恐る恐る開けてみると、氷につけられた鯵がいっぱい入っていたんです。すぐに「あ、あの子だ」と思いつきました。間もなくして電話があり、「先生見た?新築おめでとう!俺いっぱい獲ったから」と。「あなた名前くらい書いときなさいよ(笑)」みたいなやりとりをしていました。
中学生時代、本当は辛かったと思います。未熟がゆえに警察沙汰にもなってしまい、親にもあきらめられ、学校からは休んでくれと言われ。学校には行かず、昼から塾に来たりすることもあったのですが、「私はあなたが良い子だと思っているよ」とシンプルにその子に伝えていました。そうすると、少なくとも私の塾で何か問題を起こしたり、迷惑をかけたりすることは全く無かったですし、ちゃんと漁師になりました。今でもとても頑張っています。

やんちゃだった子が大人になってから言うのは、その時の誰かの言葉で救われていたり、誰かが認めてくれたりという、上辺ではない実感があったことなんですよね。怒って何とかしようとしても子どもの心に響かない。大人の理屈と正論で言ったところで、うるさいから「ハイハイわかりました」と反抗的になってしまう。
この人は本当に自分のことを信じてくれていると実感したときに、「その人を裏切りたくないな」となるものなんです。その人を悲しませたくないと。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

教育の最終目的は、「子どもの人生が幸せになること」
その本来の目的をぶらさないでほしいと思います。勉強でも習い事でも、何かをさせるにしても、そこから逆算して考えないと、何のために教育しているか見失ってしまうこともあります。まずは信じてあげることが、子どもが幸せになる第一歩です。

 

子どもが頑張るのは親が大好きだから

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

忘れないでほしいのが、子どもはお母さん・お父さんが大好きです。「どうか忘れないでください」と、いつも講演会の最後にも言っています。子どもは親が大好きだから頑張っているんです。自分の子どもは宝ですよね。全てを受け入れて育てていたら大丈夫。最後はしっかり成長します

未来において、まだ起こるかどうかわからないようなことを不安に思っても仕方ありません。「このままでは、どうなるかわからない」と悩んでどうするの?と思います。先のことを考えてしまうと、すべて悩みに変わってしまいますよね。
親は、できたらできたで心配なものです。本を読まない子も心配。本を読みすぎる子も心配。勉強しない子も心配。勉強ばっかりしている子も心配。もう何でも心配してしまう。
不安になったり、期待したりして怒ってしまうこともありますが、それは、その子を愛しているからですよね。しかし、あまり不安になって叱ってしまうと、愛していることが伝わらないのではないでしょうか。子ども側からしたら、決して愛されているように思えない。愛しているから不安になるし、色々思っているのに、全然伝わっていないのなら、逆効果です。
愛していることが伝わるように、もっと言葉に出して「大丈夫、大丈夫、今頑張っているんだから。あなたはこんなこともできるし、あんなこともできるし、すごく誇りに思うよ」とシンプルに伝える。それだけで良いと思います。

子どもには必ずその子の“強み”がある。

子ども一人ひとりには必ず “強み”があります。絶対に何かあるんです。だから心配しないでください。誰しもが強みを持って生まれてきているんです。ただそれが、親の思っているとおりの形ではないかもしれません。どこかで花開くものを持って生まれてきているけれど、大人が「今、花開いてほしい、今、見せてほしい」と勝手に焦ってしまうだけで、心配しなくていいんです。植物も優しい声をかけて育てたら綺麗な花が咲くように、子どももそうなんです。ゆっくり愛情をかけてあげるだけでいいんです。
例え今、成績が悪かったり、やんちゃだったりしても、必ず“強み”を持っています。その強みに気づき、愛情をかけていけば、いつの日か、子どもがちゃんと自分の力で自分の花を咲かせますから。それは自分のタイミングで花開きます。それが何歳でどう花開くかは親が決めることではありません。

「いつもあなたを信じているし、あなたはきっとできるし、できないことは恥ずかしいことじゃないよ。でも困ったことがあったら助けるからね」そう言ってあげてください。実際、できないことは恥ずかしいことではないんですよ。できたふりをするとか、最初から「もういいや」って投げ出すことが恥ずかしいことなんです。
何かをやってみて、できなかったとしても「よく頑張ったね」と子どもに伝えてあげてほしい。「できないこと=恥ずかしいこと」と思ってしまうと、頑張ることをしなくなってしまいます。やらないほうがマシだと思うからです。
頑張ってもできないことは、この世の中にいっぱいあります。しかし、できることだってたくさんありますし、とことんやってみようかなと思うなら諦めずにやってみたら良いのです。

成果を求めすぎると、子どもは「やらない」ということで抵抗するしかない。やらないから、できなかったと自分に言い聞かせたいから。ですので、伝え方を間違えると、逆の方向に行ってしまうこともあります。

 

目には見える花(成果)だけを求めず
根っこ(土台)を育てる

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

幼少期は子どもが「種」だとすると、本来なら「根っこ」をどんどん生やしていく方向で教育したほうが良いと思っています。しかし、根っこだと外から見えないので、親はどうしても、子どもの小さな花(成果)を早く見たくてしようがないですよね。「●●ができるようになった」「良い子だ」「言うことを聞く」「早く●●ができるようになった」とか。

しかし、目には見えなくても、根っこをいっぱい生やしている子もいるんですよ。例え茎が伸びて花を早く咲かせても、人生なんて絶対嵐の日もあれば雨の日もある。簡単に茎がポキッと折れてしまうこともあるんです。今までやってきた勉強や学歴が何にも役に立たない、といったことが社会に出るとあるわけです。花を咲かせてきたのに、咲き続けることができなくなるといったこともあるのです。

そう考えると、どちらを育てることが大切なんでしょうか。
そう、根っこさえあれば、またもう一回立ち上がれます。変化の激しいこれからの社会は、根っ子が育っていないと、心が折れてしまい「今までの自分は何だったんだ」ということだって起こり得ます。生きぬくために一番大事な根っことは、自分はここに存在していいんだという安心感。つまり、愛されていると自分自身を肯定できる力です。

根っこはいわゆる「非認知能力」と専門家が言うようなもの。外からは見えないし、数値的にも測れないもの。ですので、流行っている教育は、どうしても茎や花を伸ばす方向になってしまうのです。●●ができた、プリントが何枚できた、何歳なのに分数ができたなど、見える花がわかりやすいですよね。
しかし、本当に育ててあげるべきなのは、根っこなんです。早めの花を見せている子が、もし周りにいたとしても、それに焦る必要はありません。お隣の子どもと違う花かもしれないけれど、必ず一人ひとり強みがありますから。幼少期の非認知能力はそういう意味でとても大切です。

そのためにも、やっぱり一番のサプリメントは親の笑顔です。親が笑えば子は育ちます。

 

次回の「Vol.05」は8月6日(金)にお届けします。お楽しみに!

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