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【玉井式教育学II】– Vol.19– 子どもの「強み」を引き出し、伸ばすには

2021年11月19日

【玉井式教育学II】– Vol.19– 子どもの「強み」を引き出し、伸ばすには

これからの子どもたちは、これまでよりも世界に目を向けなければいけない時代を生きることになります。今のままの教育で良いのか、変わっていかなければいけない点は何なのか。グローバル時代を生きる子どもたちの成長のために、どのような価値観が必要なのでしょうか。
何のために教育するのかという、教育の価値観をしっかり持って、「親が笑顔でいること」「子どもへ何よりも愛していると伝えること」そして、「花(成果)を咲かせることだけでなく、丈夫な根っこ(土台)を育ててあげること」を大事にする。そう言うのは、「世界に負けない子に育てる」教育を提唱し、独自の能力育成教材を開発し続けてきた玉井満代先生。

玉井先生の考える子育てと教育について、48回にわたり、さまざまな視点でお届けします。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

《教えてくれたのは》
(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ
代表取締役 玉井満代さん

京都市生まれ、ICT教材クリエイター・脚本・演出家。20年にわたる全国数百の学習塾での指導経験を生かして、学校、またインド、ベトナム、シンガポール等で続々と導入されている「玉井式 国語的算数教室®」「玉井式 図形の極®」など、パソコン・タブレットを使用して学習する教材を全国展開。2021年現在、日本全国で24,000人が学習しており、有名私立小学校・大手学習塾・幼稚園・保育園及び学童などで広く活用されている。また、インド著書には「世界に出ても負けない子に育てる」(青春出版社)他。国内外での年間講演回数は120回(2018年度)を超える。洛南高等学校附属小学校で「玉井式 図形の極®」が授業カリキュラムとして取り組まれている。また、2021年度より、奈良育英小学校の副校長に就任。

>> TAMAISHIKIオフィシャルサイト
>> 奈良育英小学校

 

– 編集部 −
第19回目のテーマは「子どもの強み」。
「この子の強みは何か」「強みを生かしてほしい」と、親があれやこれや口出しして進路を決めたり、行動を決めたりしてしまいますよね。
親がコントロールした人生を歩んで行くと、どのようになってしまうでしょう。玉井先生の考えを教えてもらいました。

「強み」を見つけるのではなく、
「チャンス」を与える。

親も先生もその子の「強み」なんていうのは、本当にはわからないものです。往々にして、大人が考えるより、子どもの可能性は幅広く、また大きいものだからです。大人ができることは、「子どもにチャンスを与える」こと。例えば、子どもに電車を見せるから電車が好きということがわかるように、機会を与えることは非常に重要なことです。

例えば、すごく算数がよくできたとしても、親がそのときの表面的な結果を見て「じゃあ算数ができるならこうなって欲しい、ああなって欲しい」ということではなく、一人ひとりの強みというのは本来、本人の中に潜んでいて、いつかそれを自分で見つけ出して、自分で羽ばたけることなのです。
しかし、今の日本の教育は、期限を区切りながら教えてしまっています。「1年生の間は教科書のここまでを勉強しましょう」となる。その時にもっと進みたい子でも進めないし、その時にもっとゆっくり進めたい子でも足踏みができない状況になっているため、一人ひとりの強みが見えづらくなっているかもしれません。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

では、子ども一人ひとりの強みを生かすのに周りの大人がどうサポートしたら良いかというと、何か少しでもできたことがあれば、しっかり褒めてあげる。本当に小さいことでいいんです。取るに足らないようなことでも、あるいは全員ができることでも。「すごい!これできるんだ」と言われるのと、「できて当たり前」と言われるのとでは、やる気に違いが出てきます。
テストでも、その時の結果だけを見て「平均点は何点なのに、あなたは○点しか取れていない」などと言うと、勉強が嫌になってしまうかもしれません。他にも、周りの子がとっくにできていることがあるかもしれませんが、そんなことはどうでもいいんです。そのようなネガティブなことを言ってしまうと、明日につながらないのです。
その子自身を絶対値的に見て、昨日より今日できていることを見つけてそれを褒める。そうすると、今日より明日できるようになるんです。ぜひ1ヶ月そのようにしてみてください。子どもの力が変わってきますよ。

私は「褒める」は「認める」ことだと思っています。仕事でもそうですが、認めてもらったら、次に進もうとモチベーションが上がりますよね。「自分は認められていて必要な存在なんだ」と思えてこそ、何か壁にぶつかったときでも乗り越えようという気力につながるのだと思います。
いつも叱られて、「ダメダメ」と言われているのに、何かあったときには「乗り越えろ」というのは、難しいのではないでしょうか。そうならないように、やはり「褒める」「認める」です。できていないことを無理に褒めるのではなく、本当にできたこと、頑張っていたこと、それを見てちゃんと言葉に発して認めてあげることが大切だと思います。

子どもが挫折したときの親のスタンス

挫折は誰にでもあって、生きていく中には大変なこともあります。けれども、それを乗り越えるかどうかを決めるのは自分自身です。私は「必ず乗り越えよう」という言い方はしませんが、「乗り越えるかどうかを決めるのはあなた自身。そして、乗り越えると決めたら乗り越えられる」と子どもたちに伝えています。しかし、自分はとてもじゃないがこのままでは「乗り越えられない」と思ったら、一旦は逃げ出すのも一つの方法だと思っています。
例えば「いじめ」など、乗り越えられないと思ったら逃げたほうがいいと思います。自分で立ち上がれないほどの重症を負っているときに、「リハビリしよう」と言っても無理なのです。

私は子どもたちから何か相談があったときは、「あなたが乗り越えられると思えるかどうかが大事。でも、乗り越えなくても、それであなたの価値が下がるとは思わない。なぜならそれは自分自身の決断だから。ただし、これを乗り越えなかったことを後悔することなのか、そうではないのかも考えるといいよ」と言います。

「しんどいからやめた」と言っても、自分で決断したならそれで良いのです。また、後になって「あのとき、頑張ればできたんじゃないか」と自分で思ったら、そこからチャレンジすれば良いのです。大人が「これを今乗り越えないとどうするんだ」といった根性論で押さえつけるのではなく、「すべてはあなたの決定次第で人生が決まっていくんだよ」ということが肌感覚でわかるよう、伝えてあげれば良いと思います。
でないと、「親に言われたせいでこうなった」とか「僕はこんな学校に行きたくなかった」という、他責の感情が出てしまうかもしれません。「あなたはあなたが決めた人生を歩んでいくんだよ」と、何かの折に言ってあげて欲しいと思います。

ただ、やはり親が積極的に手助けしないといけないこともあります。
酷くいじめられているのなら「先生に任せよう」ではなく、「この学校には任せられない」と素早く親が判断して転校させることも一つです。それを乗り越えろと言う必要は全くないのです。

子どもが自分の人生を決めていくには

覚悟を決めて乗り越えるのも子ども自身ですし、乗り越えないと決めるのも子ども自身ですし、幸せに生きようと決めるのも子ども自身なんです。大人が子どもを管理しすぎて、こういうルートでこの子が歩めば良いとマニュアルに沿って育てたとしても、大きくなったらいつかはマニュアルどおりの道など無くなるわけです。転ばぬ先の杖をもらいながら生きてきたのに、社会に出るといきなり「自分で考えなさい」となる。当たり前のように、大学まで親が用意した道を行き、大学を卒業するときには「自分で考えなさい」となってしまったら、子どもはしんどいだろうなと思います。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

教育をグローバルに考えるためには、「思考力」という自分で考える力が必要なんです。そんな言葉をわざわざ言わなければいけないくらい、日本の教育では、子どもたちがコントロールされながら生きるのが常識になっています。
18才で、自分が社会の一員であるという意識が諸外国に比べてかなり低いのも、その管理体制のなせる結果だと思います。そんなことでは、日本でイノベーションなど起こせないと思います。

自由ばかりが良いわけではありませんが、インターネット5Gの時代、大人がこれからの社会がどうなっていくかを感じ取り、子どもたちを育ててあげないといけないこともあるのではないでしょうか。

 

次回の「Vol.20」は11月26日(金)にお届けします。お楽しみに!

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