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特集

子どもを真ん中にして考えよう 【子どものふくし − こども食堂 −】

2022年5月31日

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

こども食堂は、子どもを真ん中にした地域の居場所をつくる取り組みです。食事を提供するだけでなく、世代や役割を超えて人と人とが繋がり、地域で子どもを育んでいく場として広がっています。
奈良こども食堂ネットワークの事務局である、奈良県社会福祉協議会の岡本晴子さんにお話をお伺いしました。

 

経済的な貧困だけが問題ではない
今、必要なのは「体験」と「つながり」

子どもの貧困が社会問題となり、それと並行するように全国的に広まった「こども食堂」。奈良県内には76団体の「こども食堂」があり(2022年1月時点)、それぞれの地域に合った取り組みを行っている。

「こども食堂」と聞くと、経済的な問題で食事がきちんと食べられない子どもたちのための場…を想像している人も多いのではないだろうか?「しかし実際は違います」と力強く訴えるのは、奈良こども食堂ネットワーク事務局の岡本晴子さん。
「もちろん経済的な不安もありますが、お子さんや子育て世代の親御さんの中には、学校や家庭での生きづらさやしんどさを感じていることのほうが多いんです。しんどいなあって思うことを話せる場所がない。“つながりの不足”が問題でもあります」と。

学校でも家庭でもない第三の居場所となる「こども食堂」。地域の中で子どもたちを守り、育んでいく。「子どもたちを真ん中にした居場所をつくる取り組みが、本来の「こども食堂」なのだ。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

 

地域に「こども食堂」があることで、気になっていたことが見えてくることもある。例えば、「気になるお子さんを地域でみかけても、名前を知らないと声をかけることにも躊躇し、子どもたちも警戒します。でもこども食堂に来ていると、道でばったり会っても、あの時カレーを作ってくれていた人だと分かるし、声をかけられると子どもたちも嬉しいようなんです」と。

また、「こども食堂という一つの仕組みがあることで、何となく今まで気になっていたことを共有しやすくなりますし、一人では出来なかったことも、地域の皆さんと取り組むことで動きやすくなります」とも。
敷居を低く、誰でも来られるようにすることで、子どもだけでなくママやパパにとっても、地域とつながれる安心の場所にもなっている。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

 

あたたかなご飯を囲んで楽しく食べる
子どもたちを地域で見守り、育む仕組み

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

 

地域によって取り組みや運営方法は様々だが、「こども食堂を行ううえで大切にしていることが4つある」と話す岡本さん。それは、「あたたかなご飯を囲むこと」「多様な人や価値観と出会えること」「自分にかまってくれる人がいること」そして、「困った時に気づき、受けとめること」の4点。

食事を共にするうちに仲良くなるのは大人も一緒だが、それだけではなく、「色んな価値観や考え方を持った人と出会うことも、子どもたちにとっては重要なのです」と岡本さん。
「例えば、仕事のことを楽しそうに話をする人と出会うことで親とは違う仕事に興味を持ったり、ボランティアに来ている高校生や大学生のお兄さん・お姉さんが楽しそうに学校生活を送っているのを見て勉強を頑張ってみようと思えたりと、今までは考えもしなかった価値観や可能性を見出すことができるかもしれません。子どものうちに色んな人と出会えることは、とても貴重な体験だと思います」と。

確かに、子どもが出会う大人は親と学校の先生だけという場合もあるかもしれない。しかし「こども食堂」では世代を問わず、色んな仕事や役割を持った人がボランティアとして関わっている。
「料理好きや子ども好きな人だけが手伝えるのではなく、“居るだけ支援”というボランティアもあります。その場所に居てくれるだけでいい。周りには居なかったタイプの大人に出会えるという、それだけで実は価値があるのです」と。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

 

「こども食堂」という名前にこだわり過ぎてご飯作りだけに一生懸命になりそうだが、子どもと接する時間や対話を大事にする。この関わりが続くことで、ポロっと本音を聞けることも。

子どもにとって出会いの一つひとつが貴重であることを、改めて知らないといけない。もう一つは「自分にかまってくれる人がいる」ということ。
「あなたはその他大勢じゃないよということです。何か特別なプログラムをしなくても、今日は○○さんが来てくれてうれしいな。前回は会えなくて寂しかったよなど一声かける。一人の子どもとして認知されていることが伝わると、自分は大事にされていると感じるんです」と。
声をかけることから話ができ、困ったことがあれば気づきそれを受けとめていく。みんなでご飯を食べるということを通して人とつながり、小さなSOSや変化にも気づいていける、今の時代に合った地域コミュニティといえる。

はじめるきっかけは様々。
世代を超えて助け合うコミュニティづくり

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

 

県内に76団体ある「こども食堂」だが、そこに集うボランティアの年齢も職業も様々。高齢者の方もいれば、子育て世代、10~20代の若者もいる。
ある20代男性が中心となったグループが「こども食堂」をはじめたきっかけは、生まれ育った地元を盛り上げたいとの想いで自治体のワークショップに参加したこと。たまたま同じグループになったメンバーと何か地域に貢献できないかと話していたところ、「こども食堂ができたら良いね、楽しそうだね」と話が盛り上がりスタートしたという。
また、「子どもたちが一緒に遊べて、親同士で交流ができる場が欲しかったけど地域にはなくて。だったら作っちゃえ」とはじめた子育て中のママもいる。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

 

岡本さん曰く「はじめるきっかけは様々ですが、地域を守りたい、楽しく続けたいという思いで取り組まれている方がほとんどです。手段や方法は色々で、地域によっては見守り活動というのもあります。お互いが気にかけ合って少しずつ助け合って、困ったことやSOSも言いやすくなれば良いなと思うんです。そのきっかけの一つが、こども食堂なんだと思います」と。

また、「地域によってはお年寄りも参加する食堂があります。ご飯を作って子どもたちと一緒に食べることで、どっちが助けてもらっているのか分からないよねって話す方もいるんですよ」とも。ボランティアをする側とされる側の垣根が低いのが「こども食堂」の良さでもある。

食を通じて子どもたちを真ん中にした地域づくり。いざという時、気持ちがしんどい時にそっと支えてくれる存在。今の時代に合った地域の在り方、より豊かな地域へ安心できる地域づくりのきっかけとなる「こども食堂」。 「福祉活動って敷居が高いと思われがちですが、こども食堂はそこを軽やかに超えられます。福祉は私たちが暮らす身近なところにあることを知ってほしい」と話す岡本さん。 家庭でも学校でもない第三の居場所が必要であることを理解し、知っていく必要があるのだろう。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − こども食堂 −】

 

奈良こども食堂ネットワーク

「こどもを真ん中に」という理念のもと、奈良県内でこども食堂に携わる団体や協力しているサポーターが、活動の輪を広めるために交流や情報発信をしているネットワーク。
【問合せ】
奈良県社会福祉協議会
(TEL:0744-29-0100)
>> WEB SITE

〈撮影協力〉
たわわ【地域・居場所】食堂

「温かい気持ちのおすそ分け」で、お腹も心も満タンにする生駒市にある地域食堂。毎週水曜(8:45〜11:00、14:30〜17:30)と第4日曜(11:00〜13:00)に活動。子どもは無料 or 100円、大人は200円 or 300円(時間帯による)。食材の寄付も随時受け付け。
【問合せ】
生駒市元町1丁目4-6
080-1450-2788
(代表:みぞぐち まさよ)
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