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特集

子どもを真ん中にして考えよう 【子どものふくし − 発達支援 −】

2022年6月13日

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

子どもの成長・発達は個人差があるものです。その子に合わせた支援を受けることで、できることが増えたり、得意や好きなことを見つけたり、可能性を伸ばすことに繋がります。さまざまな要因から、集団生活で生きづらさを感じる親子のために、発達療育の専門である、定政 輝さんにお話をお伺いしました。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

株式会社Rainbow Create
こども発達療育教室「ぱずる」

定政 輝さん
1989年生まれ。児童発達支援の立ち上げ、奈良県の特別支援学校の小学校教員・保育士などでの現場経験、児童発達支援・放課後デイサービス児童発達支援管理責任者を経て、こども発達療育教室「ぱずる」を開所。LGBTQ+で悩む子どもたちのために、講演活動や奈良レインボーフェスタのイベント企画・運営も行っている。

 

「さまざまなちがい」を
感じている子どもたち。

発達障がいや性的マイノリティへの周りの理解が得られずみんなとは違うと感じていたり、集団行動が苦手だったり、繊細な性質だったり、親子関係が複雑だったり。さまざまな要因から生きづらさを感じている子どもたちがいます。
一人ひとりに個性があり、それを尊重する社会の居場所が必要です。その子を理解し、どう接してあげると良いのか知ることが第一歩。そのためにも、子ども自身と家族、またその子の周りへのサポートが大切です。

きょうだいが困っていることもあるので、きょうだい児支援なども必要だと考えています。
療育だけでなく、不登校やLGBTQ+を含め、生きづらさを感じる子どもたちには、家庭や学校とは別の居場所が大切だと思います。

親も楽になれば、
子も楽になる。

家で「宿題をしなさい」「片付けをしなさい」と言われると子どもは嫌だし、しないといけないことを注意するのは親も苦痛ですよね。
子どもたちには、家でゆっくりと過ごして欲しい。そのためにも、宿題などするべきことを自分で目標を決めて取り組む時間を作っています。

親が楽になって、子どもも楽になる。家庭に寄り添うことが子どもに寄り添うこと。話したいことがある子どもも多く、集団の場だとゆっくり聞いてもらいにくい場合があるので、ここでじっくり聞く。
子どもたちが安心して家に帰れることが家庭の支援につながっています。

 

規範に外れることをする
=悪い子なの?

学校や社会などの大きい集団になると、どうしてもルールなどがあり抑制されることが多くなります。
例えば、「そこを走ってはいけない」ではなくて、「ぞうさんみたいにゆっくり歩こう」と禁止や制限ではない表現をするようにしています。
集団生活では、「走り回る、ウロウロする」=「落ち着きのない子、悪い子」となり、叱られることも多いですよね。
忘れ物をした子どもの名前を教室に貼るような学校もあり、それを見ると周りも「ダメな子だ」、その子自身も「自分はダメな子」と思ってしまうかもしれません。

子どもなりに何か理由があるはず。その理由を見ながら声をかけるようにしています。学校のルールに外れたからといって、「悪い子」とレッテルをはるような教育にならないよう、社会全体で子どもたちをサポートできるようになればと思います。

不登校になる
きっかけって?

幼稚園から小学校に上がる、学年が上がって担任の先生が変わる、引っ越しなど、環境の変化があるタイミングにストレスがかかり不登校になる子がいます。
最初は笑顔で登校していても、だんだんと布団から出られなくなったりすることもあります。こちらの教室では、次も来たくなるような声かけを工夫しています。

不登校はいじめばかりが原因ではありません。
学校の問題、家庭環境、その子自身の特性などがあります。HPS(ハイリー・センシティブ・パーソン)という繊細な子は、見えない雑音、空気感を感じやすいのです。
現状、不登校のお子さんが受け入れられる環境が少なく、フリースクール以外に放課後デイサービスなどの福祉サービスも選択肢として増えていけばと思います。

 

子どもが変わると
周りも変わる。

実は、子ども自身が変わっていくことが大事なんです。子どもは「できること」「できたこと」が自信となり、行動に繋がっていきます。
例えば、授業中に他のことに興味がいき、立ち歩いてしまう子が椅子にちゃんと座れるようになると、家での様子も変わり、親御さんが喜んでくれます。親が喜ぶと子どもは嬉しい。さらに、幼稚園、保育園、学校がその子の変化に興味を持ち、理解しようとする。

出発点はその子自身なんです。そこから円のように広がり、周りが変化していきます。
一つひとつできていくことで子どもは達成感を感じ、興味関心を抱き、挑戦していく気持ちが生まれる。それが療育の大切な点です。

子どもと信頼関係を
築くには。

好きなことを3つ見つけてあげて欲しい。動画でもゲームでも何でも良いんです。そして、「この子はこれが好きなんだな」と認めてあげる。
好きなことを話題にコミュニケーションをとるのも良いと思います。自分のことを覚えていてくれるのは大人でも嬉しいもの。

また、子どもにして欲しいことがあれば、「1.手を洗います 2.タオルで拭きます 3.〜」と、数を絞って紙に書いてあげると伝わりやすいです。
どの子にも言えることですが、悪いところ、ダメなところを見るのではなくて、ちょっとでもできたこと、良いところを褒めて認めてあげることが大切だと思います。

 

児童発達支援
(未就学児)とは?

児童発達支援は、障がい児通所支援の1つで、小学校就学前までの療育として、動作のトレーニングや運動機能の向上、就学に向けた準備などを行います。

放課後等デイサービス
(小学1年生から高校3年生まで)とは?

発達に特性のある子ども向けに、放課後や夏休みなどの長期休暇に利用できる日常生活を送る上で必要な学習やコミュニケーションスキルなどを身に付けるために支援をします。

 

*どちらも利用には障がい児通所受給者証が必要となります。

こども発達療育教室「ぱずる」ってこんなところ?

発達療育に関わる中、子どもたちの“居場所”を作りたいと思ったのがきっかけでこの教室を始めました。決められたプログラムをこなすことや指導員の指示に従わせるのではなく、子どもたちの興味や関心があることに取り組めるよう、時間配分や内容を考え行っています。「子どもたちのできることを増やして、自信に繋げる」ことを大切にしています。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

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子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

 

児童発達支援・放課後等デイサービス
こども発達療育教室「ぱずる」

大和郡山市小泉町1283-9
Tel. 050-3145-9717

未就学児から高校生までを対象に、TEACCHプログラム(個別選択療育)やSTEAM教材(プログラミング)、アート教室や器械運動などを取り入れた個別と少人数制の教室。

<専門スタッフ>
保育士・幼稚園教諭、特別支援学校講師、鍼灸師、保健体育教員、看護師、児童指導員、精神保健福祉士、音楽療法講師、英語講師、絵画教室講師など。

>> こども発達療育教室「ぱずる」公式サイト

 

「ぱずる」での、ある日の過ごし方

通っているいっくん(年中)とお姉ちゃんが、どんなことをしているのかを見てみました。

パンケーキ作り

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

最初に「しろくまちゃんのホットケーキ」を読んで、ホットケーキの作り方を見てスタート!

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泡立て器でまぜまぜ。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

次は何かな?絵本で確認。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

シュッ!ペタッと、パンケーキをひっくり返して。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

生クリームを絞って、飾りをつけて。

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

ハイ、完成〜〜!おいしいねっ!

椅子取りゲーム

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

教室の2階にはボルダリングのある壁やぶら下がれるブランコなど遊び道具がいっぱい。先生たちと音楽に合わせて椅子取りゲームを楽しんでいました。

こども発達療育教室「ぱずる」に通ってみて…

子どもを真ん中にして考えよう【子どものふくし − 発達支援 −】

岩尾かほりさん、いっくん(5歳・年中・自閉症スペクトラム)、お姉ちゃん

出会う人でこの子がどう育つかが変わると思って。

2〜3歳頃に、通っていた保育園から「集団生活に馴染めていない。クラスの子と同じことができない」ということを言われました。
私自身は、成長の遅さは個人差だと思っていたのですが、年少になると、保育園に行くことを急に拒否しだすようになって、「大きな声を出しすぎる。言葉が遅いので喧嘩した時に噛みついてしまう。目に入った情報で突発的に動く」など、集団生活の中で行動する難しさが見え、本人も辛そうに感じたので病院を受診しました。

発達障がいと言っても人それぞれで、この子の場合、小さい頃にすぐに英語で1から100までの数字を覚えたけれど、何故かひらがなは覚えない。得意と不得意の差が大きいんです。本人が興味のある声かけで促すことが必要だと分かりました。
「骨折したら松葉杖をつくように、発達障がいは人が支え。発達障がいのある人にとっては、人が松葉杖だ」ということを聞き、出会う人によってこの子がどう育つかが変わると思いました。

この子に合う場所、行きたいと思える場所、子どもの好き嫌いや好みを理解し支援してくれるところを探して『ぱずる』と出会いました。療育といっても教室によってそれぞれ違います。ここは、個を大切にしながら少人数で活動する時間もあって、まさに私の理想でした。

5歳の子どもの性質は大きくなっても基本は変わらないと思います。ただ、成長と共にできることも増え、出会う人で変わっていく。親としてどういう人と出会い経験できるかを見ていきたい。家では発見できない子どもの良いところを見つけて引き出してくれる、そういう居場所が家以外にたくさんあることで親も子も自信になっていくと思います。