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特集

【玉井式子育て教室II】– Vol.11 – 社会の変化から未来を想像する力

2021年9月17日

【玉井式子育て教室II】– Vol.11 – 社会の変化から未来を想像する力

これからの子どもたちは、これまでよりも世界に目を向けなければいけない時代を生きることになります。今のままの教育で良いのか、変わっていかなければいけない点は何なのか。グローバル時代を生きる子どもたちの成長のために、どのような価値観が必要なのでしょうか。
何のために教育するのかという、教育の価値観をしっかり持って、「親が笑顔でいること」「子どもへ何よりも愛していると伝えること」そして、「花(成果)を咲かせることだけでなく、丈夫な根っこ(土台)を育ててあげること」を大事にする。そう言うのは、「世界に負けない子に育てる」教育を提唱し、独自の能力育成教材を開発し続けてきた玉井満代先生。

玉井先生の考える子育てと教育について、48回にわたり、さまざまな視点でお届けします。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

《教えてくれたのは》
(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ
代表取締役 玉井満代さん

京都市生まれ、ICT教材クリエイター・脚本・演出家。20年にわたる全国数百の学習塾での指導経験を生かして、学校、またインド、ベトナム、シンガポール等で続々と導入されている「玉井式 国語的算数教室®」「玉井式 図形の極®」など、パソコン・タブレットを使用して学習する教材を全国展開。2021年現在、日本全国で24,000人が学習しており、有名私立小学校・大手学習塾・幼稚園・保育園及び学童などで広く活用されている。また、インド著書には「世界に出ても負けない子に育てる」(青春出版社)他。国内外での年間講演回数は120回(2018年度)を超える。洛南高等学校附属小学校で「玉井式 図形の極®」が授業カリキュラムとして取り組まれている。また、2021年度より、奈良育英小学校(現 奈良育英グローバル小学校)の副校長に就任。

>> TAMAISHIKIオフィシャルサイト
>> 奈良育英グローバル小学校

 

– 編集部 −
第11回目のメインテーマは「未来を想像する力」。
「空気を読む」ことを重要とする日本の環境の中、これからグローバル社会が加速する世界で挑戦し、わたり歩ける“強さ”を身につけるには。
どのような感覚が必要と思うのか。少子化で人口も減っていく日本の社会をどう発展させ、生きていくのか玉井先生の考えをお伺いしました。

社会に変化が起こったとき、
未来を想像できるかどうか

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

これから日本の人口は減っていくでしょう。しかし、国を発展させていくことはできると思っています。時代に応じて求められるものがあって、その先端をいくことが大事なんです。
かつての日本は車や家電製品など世界的に見ても発明性があり、人が欲しいと思うものを作れてきました。そんな中、1995年にMicrosoft Windows 95が登場し、インターネットが汎用化されてから、世界はダイナミックに変わったと思います。インターネットはご存知のように軍事用にずっと使われてきたものですが、それが汎用化され、パソコンも安価でみんなが使えるようになってきたときに、世界とつながるインターネットを使って、何ができるかという想像力がもっと日本人にあったならば、今の日本の産業も変わっていたかもしれません。例えば、ポチッとキーボードを押しただけで物が買えるといった想像力があったなら、日本でも世界的なショッピングサイトが作れたと思うんです。

今ではタブレット教材、電子辞書なんて当たり前。しかし、当時は紙の新聞なんて無くなりっこないと思っていました。紙の本がなぜ無くなるんですか?と。「本は本屋でないと買えないし、立ち読みして買うもの」だと。「洋服なんて試着もしないで買うわけがないでしょう」と。そういう発想になっていたので、「ポチッとボタンを押すだけで、次の日に本が家に届くなんてどうやるのか」というところの想像力に辿りつけず、出版社も電子化に遅れたのです。

かつてポチッとして旅行に行けるとか、ポチッとして写真を送れるようになるなど、夢物語の時代だったわけです。しかし、世間が本屋は無くならないし、洋服は試着して買うものと思っていた中、いち早くECサイトに手を出してきた会社と、コロナ禍になったために、今からネットで売らないといけなくなった会社と分かれていますよね。
これは目の前にやらざるを得ない事態が迫ってきてやっと手をつけるのか、社会の変化にいち早く反応し、未来を想像できるか、その力の違いとなってきます。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

未来を想像し、決断して進める力

前述のことは教育にも関係していると思います。Windows 95ができたとき、一般家庭にインターネットがつながって当たり前になってきたとき、これからはこの技術を使っていろんな仕事をしていくんだなという想像力があれば、今の子どもたちの教育も違っていたかもしれません

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

今やよく話題になるデジタルトランスフォーメーション(※1)に必要な人材も、もっと前から教育の中にデジタルを取り込めていたら、その教育を受けた子どもたちが成人し、今ここまで右往左往しなくて済んだだろうと思います。

※1 AI、IoTなどの進化したデジタル技術を浸透させることで、人々の生活やビジネスをより良いものへと変革させること。

こういう教育を一切受けていないで、世界に巻き込まれながらデジタルトランスフォーメンションだなんていうから、「お金はかかるけど、ちゃんとしたものができない」といったことが起こってしまう。それは教育への想像力が足りなかったためではないかと思います。
企業ですらそういうことになっています。例えば電話についてでもそうで、先見性のある誰かが「これからは携帯電話の時代だ」と言っても、日本では開発が進まなかった。固定電話が無くなる、公衆電話がいらなくなるといったイメージを持っていなかったわけなんです。ポケットベルが登場し社会が変わろうとする中で、固定電話はもうあまり使われなくなるのではないか。そういった未来を予想し、先駆的にそちらに動けたか動けなかったか。これは想像力と決断力なのです。「まだわからないけれど、きっとこっちだ」と進める力。しかし日本人は、みんながしないことをするのを恐れる傾向があるのかもしれません。ですので、誰かが突出して「私はこちらに進む」と新しい方向性を示すと驚かれるんです。

私が2012年にインドに行き始めたときも「なぜインド?インド行ってどうするんですか?」と、発展途上で異文化の国に行って何をするんだと思われていました。2012、2013年頃はまだまだそんなイメージでしたが、今やインドでは一気に学校が増え、国が教育にお金をかけ、経済力も上がってきて、2027年には中国を抜くかもと言われています。日本も後から「これからはインドだ」と言っていますが、ちょっと先のことが見えたら、そこに向かっていく人を応援できたのではないでしょうか。

日本は、ちょっと変わったことをしようとする人、ちょっと変わっている人を否定的に見るように思います。2021年の今、教えている幼少期の子が社会に出て活躍し始める15~20年後の世界を想像したとき、算数や国語などの教科にしても、ずっとこの内容で良いのかと疑問に思います。

 

大人は挑戦する若者を応援しよう

今世界を席巻しているのは、新しい技術が生まれたときに「きっとみんながそれを利用して、こんな社会になるに違いない」という想像力を働かせた人たちです。旅行は旅行代理店に行って申し込むものだったり、中古品のフリーマーケットは公園でするものだったりしたものが、今はインターネットを使って旅行を予約し、フリマアプリで売り買いができます。

新しいことをすると、もちろん失敗もあります。しかしそれは、トライアンドエラーで進んでいくわけです。エラーをしても「もっとこうやったら良い」と自分たちで解決していく。私も含めて年齢が上の人はもう下手にアドバイスしないほうが良いと思います。新しいことにチャレンジする若い人たちをどんどん応援する。若い人たちにもっといろいろな世界を見てもらって、こんなことやってみたいと言えば後押しをしてあげる。人類に役に立つことならきっといつか花咲くと思います。ただ押さえておくべきは、人としての道を外さないようには助言してあげること。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

「世界の何を変えたいからこれをしたい」という志がないと成功はしないと思っています。今の若い人たちはすごく優秀で可能性があります。私の会社でも20代の人がたくさんいて、社会経験は浅いけれど、みんなとても優秀です。ですので、どんどん挑戦してもらいたいと思っています。

親が自信を持てる社会を

やはり子どもの力を育てるためにも、親自身が強さと自信を持てる社会になって欲しいと思います。親に自信がないと、周りを気にして「ちゃんと育てられない」といった不安が生じるのではないでしょうか。他の人と同じであることにこだわる必要はありません。どうして、みんな同じ学年の教科書を持って、同じような段階を踏んでいかないといけないかということに、むしろ疑問に思ったほうが良いと思っているくらいです。本当に親は自信を持って育ててください。

現実として学校では習った漢字でないものを書いてはいけなかったり、塾で習った方法でしてはいけなかったりなど、不思議なこともたまに聞きます。さらに言うと、「塾に通えない子は可哀想」みたいなおかしな議論になっていくこともあります。別に塾に通う子も通わない子もいて良いのです。目的があって通う子は「頑張ってえらいね」と言えば良いし、塾に行っていなくても学校で学んだことや他にやりたいことをしっかりできていれば、それも「頑張ってえらいね」と言えば良いだけのこと。それぞれの家庭の教育の考え方を認め合うことが大切だと思います。 福井県は塾に通う率が少なくても、学力が高いそうです。何を不平等と感じるのかを考えてみると、日本の悪しき平等主義みたいなものが余計に不平等に感じさせ、また可哀想に思わせてしまうところがあると思います。

トヨタが学校を作ってちょっと前に話題になりましたけれど、企業も寄付するには経済的な余裕がないと無理ですよね。自社の社員をリストラしないとだめな状況ではなかなか難しいものです。子どもたちの未来のためにも、この先の社会を想像し、先駆的に新しい産業を生み出し発展する企業が日本からどんどん出てきてほしいものです。今になって情報教育の遅さがボディブローのように効いてきたように思います。今からでも変化に気づき、未来のために決断して前に進める社会になればと思っています。

 

次回の「Vol.12」は9月24日(金)にお届けします。お楽しみに!

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