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特集

【玉井式教育学I】– Vol.15 –「何のために学ぶの?」親としてどう答えるか。

2021年10月15日

【玉井式教育学I】– Vol.15 –「何のために学ぶの?」親としてどう答えるか。

これからの子どもたちは、これまでよりも世界に目を向けなければいけない時代を生きることになります。今のままの教育で良いのか、変わっていかなければいけない点は何なのか。グローバル時代を生きる子どもたちの成長のために、どのような価値観が必要なのでしょうか。
何のために教育するのかという、教育の価値観をしっかり持って、「親が笑顔でいること」「子どもへ何よりも愛していると伝えること」そして、「花(成果)を咲かせることだけでなく、丈夫な根っこ(土台)を育ててあげること」を大事にする。そう言うのは、「世界に負けない子に育てる」教育を提唱し、独自の能力育成教材を開発し続けてきた玉井満代先生。

玉井先生の考える子育てと教育について、48回にわたり、さまざまな視点でお届けします。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

《教えてくれたのは》
(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ
代表取締役 玉井満代さん

京都市生まれ、ICT教材クリエイター・脚本・演出家。20年にわたる全国数百の学習塾での指導経験を生かして、学校、またインド、ベトナム、シンガポール等で続々と導入されている「玉井式 国語的算数教室®」「玉井式 図形の極®」など、パソコン・タブレットを使用して学習する教材を全国展開。2021年現在、日本全国で24,000人が学習しており、有名私立小学校・大手学習塾・幼稚園・保育園及び学童などで広く活用されている。また、インド著書には「世界に出ても負けない子に育てる」(青春出版社)他。国内外での年間講演回数は120回(2018年度)を超える。洛南高等学校附属小学校で「玉井式 図形の極®」が授業カリキュラムとして取り組まれている。また、2021年度より、奈良育英小学校(現 奈良育英グローバル小学校)の副校長に就任。

>> TAMAISHIKIオフィシャルサイト
>> 奈良育英グローバル小学校

 

– 編集部 −
第15回目のメインテーマは「何のために学ぶのか」。子どもからこう聞かれたこと、これから聞かれることもあるかと思います。
「勉強をする、学ぶことは何のためなのか」。親としてどのように考え、子どもに伝えるか。玉井先生の考えを教えてもらいました。

「学ぶ理由」を子どもに聞かれたときは

「算数をしたら何になるの?」「プログラミングしたら何になるの?」など、子どもたちは疑問に思って聞いてくることがあるかもしれません。しかし、私はそれをあまり具体的に答えなくて良いと思っています。
「あなたは絶対何か強みがあるから、それを探すために色々とやっているんだよ」という感じで良いと思います。具体的に○○のためと言うより、いろんな学びはすべて「あなたのため」なんです。学んでいるうちに、子どもがプログラミングをとても面白いと思うかもしれないですし、数学の道が面白いからこれを生かしてNASAで働きたいと夢を持つかもしれません。そのためにも英語を話せるようになっておこうと思うかもしれません。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

子どもが何に気づき、何に好奇心を持つかは、親にも先生にもわからないことです。ですので、「心配しなくてもあなたは絶対に強いものを持っているから、だからそれを探すために勉強するんだよ」と、私はいつもそう言っています。

「学びの目的」を伝えるために
大人がわかっておくこととは

本来「志(こころざし)」を持たせようと思うと、例えばインドのように、

・自分と同年代の子が物乞いをして道端にいます。
・そんな子どもたちをいつも見ています。
・逆に自分は最先端のところで勉強しています。


といった環境にいて、こんな国はダメだ、絶対にこのような貧しい人たちを無くさないといけないという思いが沸き起こり、「志」が出てくるものだと思います。実際、インドの若い人たちはそのような志を持っています。
インドの歴史の中でカースト制度が作られてきましたが、今、この現代においてカースト制度はあるけれど、ここ15年くらいで、勉強をすればどのカーストの人も大学に入れるようになったんです。ほんの最近のことです。カーストによっては、勉強ができて頭が良くても入れない大学はたくさんあったのですが、その壁が取り払われたとたん、国民全体の教育熱が上がったわけです。

そう考えると、日本は本当に恵まれています。6歳になったらみんなが教科書を貰えて、当たり前のように学校へ通える。世界中にそんな国はありません。日本だけなのです。日本では当たり前のことなので、世界の国々もそうだと思っているかもしれないですが、アメリカですら移民もホームレスも多い中で、みんなが学校に行けるわけではないのです。

私たち日本人が「志」というと、アスリートなど何か特別なことを成し遂げた人の話を思い浮かべるかもしれませんが、全ての人が学校に行けるわけではない国では、恵まれている人たちが「こんな世界を無くさなきゃいけない」という気持ちを持っているわけです。しかし日本は、貧困の子どもたちがたくさんいるとは言いながら、インドのように物乞いをするほどの子が身近にたくさんいるかというと、そういうわけではありません。

例えば「勉強したらゲームして良いよ」というご褒美を出す親御さんもいるかと思います。しかし、私は「どちらがご褒美なんですか?」と保護者の皆さんに言っています。ゲームがご褒美なのでしょうか?いやいや違いますよ、“勉強”こそがご褒美なんですよと。そこを「伝え直してください」と、いつも言っています。

先ほど、全ての人が学校に行けるわけではない国のことをお伝えしました。そのことを考えると、学びの目的や“ご褒美”とは何かを考えてほしいのです。それを間違えて伝えて「勉強したらゲームをして良いよ、遊んで良いよ」という話しにすると、明らかに「勉強は辛くて大変なこと」と言っているだけなのです。
大人が伝えるべきことは、学びの本質や目的は何なのかということ、そして、人生は一生学びであり、それこそ息を引き取る瞬間まで学び続ける終わりのないこと、だと思います。

 

人生の目的は?と言われたら

学びの目的というのは、一生学び続けることが大事なのであって、それをあまりにも定義しすぎると、その方向に行かないといけないとなってしまい、大変に思ってしまうかもしれません。そこをあえて言うのではなくて、「人生の目的は?」と問われたら、「幸せになるために生まれてきた」くらいの話で良いと思います。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

しかし、実際のところ人生の目的などもわからないから、いろんな宗教があるのだと思います。修行して考えて考えて、哲学などたくさん勉強した人もあれこれ言うのですが、結局どれもこれも答えがないのが人間だと思うんです。ですので、ひとまずそんなことは考えず、とりあえずこんな風に伝えてほしいと思います。

「あなたの中にある何か強いものを探すために、知っておいたほうが良いことがあるから、まずは学んでごらん」
「あなたが人間として産まれてきた以上、何か強みがあると思っている。それを探してごらん」
「強みが今すぐ見つからなくてもいつか見つかると思うし、自分で見つかっていないと思っているだけで、人から見たら見つかっているかも知れないよ」
「世界を変えていくのはあなたかも知れないし、発展させるのもあなたかも知れないよ」

と。

悪いことを想像し不安になったときは

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

子どもたちが安心安全を求めるのは当たり前のことです。あまりにも情報過多でしんどくなりますし、脳は悪い事態を考え不安になりやすいものです。悪い事態を考えるから、危険を察知でき、それを踏襲して学んでいるから、人間は恐竜より生き延びているわけです。そうすると、脳というのは大抵の物事をマイナスに考えるものです。「もし、こうなったらどうしよう」と。

実際は、ほとんど不安に思っているような悪い事態は起こらないのですが、人類の習性なのです。だからと言って、「絶対無理なのよ、楽しくならないのよ」となると、そこで話は終了です。ですので、どうやったら今日が楽しくなるかなと考えることが大切だと思います。

私も経営者なので、「もしこうなったら…」という最悪の事態は想定します。しかし、マイナスなことばかり言われたら社員も嫌になってしまいます。「こんな売上になったらみんなのボーナスもないし、もっとこうやって働いてもらわなきゃ」といったことを言うのではなく、そこは自分の中で押さえておいて、やっぱりみんなにとっては「こうなったら、きっとこうなる」といった夢のある言葉が嬉しいですよね。
できるだけ社会の中で、そういった思考をどう醸成していくか、特に子どもたちと「何のために?」を考える際には、気をつけて伝えてあげてほしいと思います。

 

次回の「Vol.16」は10月22日(金)にお届けします。お楽しみに!

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