子どもたちの未来へつなげ「ぱーぷるmirai」

子育て情報も配信!奈良のタウン情報アプリ「ぱーぷる」

  • 子どもたちの未来へつなげ「ぱーぷるmirai」 App Store
  • 子どもたちの未来へつなげ「ぱーぷるmirai」 Google play
  • 子どもたちの未来へつなげ「ぱーぷるmirai」 instagram
  • 子どもたちの未来へつなげ「ぱーぷるmirai」 Facebook

特集

【玉井式教育学IV】– Vol.25 – 奈良育英小学校特集① 海外交流(スピークアウトジュニア)

2022年1月7日

【玉井式教育学IV】– Vol.25 – 奈良育英小学校特集① 海外交流(スピークアウトジュニア)

これからの子どもたちは、これまでよりも世界に目を向けなければいけない時代を生きることになります。今のままの教育で良いのか、変わっていかなければいけない点は何なのか。グローバル時代を生きる子どもたちの成長のために、どのような価値観が必要なのでしょうか。
何のために教育するのかという、教育の価値観をしっかり持って、「親が笑顔でいること」「子どもへ何よりも愛していると伝えること」そして、「花(成果)を咲かせることだけでなく、丈夫な根っこ(土台)を育ててあげること」を大事にする。そう言うのは、「世界に負けない子に育てる」教育を提唱し、独自の能力育成教材を開発し続けてきた玉井満代先生。

玉井先生の考える子育てと教育について、48回にわたり、さまざまな視点でお届けします。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

《教えてくれたのは》
(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ
代表取締役 玉井満代さん

京都市生まれ、ICT教材クリエイター・脚本・演出家。20年にわたる全国数百の学習塾での指導経験を生かして、学校、またインド、ベトナム、シンガポール等で続々と導入されている「玉井式 国語的算数教室®」「玉井式 図形の極®」など、パソコン・タブレットを使用して学習する教材を全国展開。2021年現在、日本全国で24,000人が学習しており、有名私立小学校・大手学習塾・幼稚園・保育園及び学童などで広く活用されている。また、インド著書には「世界に出ても負けない子に育てる」(青春出版社)他。国内外での年間講演回数は120回(2018年度)を超える。洛南高等学校附属小学校で「玉井式 図形の極®」が授業カリキュラムとして取り組まれている。また、2021年度より、奈良育英小学校(現 奈良育英グローバル小学校)の副校長に就任。

>> TAMAISHIKIオフィシャルサイト
>> 奈良育英グローバル小学校

 

– 編集部 −
第25回目から6回にわたり、奈良育英小学校の取組事例をご紹介します。
1回目は「海外交流(スピークアウトジュニア)」。
児童たちが日本語と英語を交えながら、海外の同年代の子どもたちと、普段の活動やお互いの母国の文化を共有してコミュニケーションを図る取り組みです。
この取り組みの子どもたちの様子や得られる効果、また今後の展望について教えていただきました。

海外交流
<スピークアウトジュニア(SOJ)>の特長

「スピークアウトジュニア(SOJ)」は、2021年度から新しく開始した海外交流活動です。小学1年生から小学6年生までの児童が、マレーシアのクアラルンプールにあるSri Aria School(スリアリア・スクール)のそれぞれ同学年の児童と、英語での交流活動を隔週で行っています小学6年生は、スリアリア・スクールに加え、同じくマレーシアのREAL School(レアル・スクール)とも月1~2回交流をしています
スリアリア・スクールは、教科の枠や時間割の制限を取り払い、児童の興味関心を大切に、それぞれの自主性を重視する教育活動を行っている学校です。レアル・スクールはイギリス系インターナショナルスクールです。

この活動は、オンラインシステムのZoomを通して、マレーシアの児童が教室のスクリーンに映し出され交流しています。お互いに、自分が興味を持っていることや相手に伝えたいことを日本語・英語を織り交ぜて発表をしたり、質問をしたりする活動です。小学校にて、同年齢の海外の児童を相手に、定期的に継続する海外交流活動はあまり例を見ないのではないかと思います

実際の授業での児童の様子

①発表の様子

【奈良育英小学校の発表の様子】
自分・学校のことや奈良県の紹介、こどもの日や七夕など日本ならではの行事、運動会の取り組みの紹介、国語で学習したお話の劇発表などについて、英語と日本語を取り混ぜて発表しています。具体的な例としては、奈良県にまつわることや大仏についてのクイズを出したり、絵描き歌、紙飛行機、折り紙やあやとりなどの日本の伝統的な遊びのデモンストレーションを行ってマレーシアの友達と一緒に実際にやってみたり、身近な植物やお家の畑でとれたパパイヤを見せたりするなど、様々な内容を取り上げ、この活動に一生懸命に取り組んでいます。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

こちらは小学6年生。あやとりのデモンストレーションをして、マレーシアの友達と一緒にしてもらっているところです。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

そのあやとりのデモンストレーションの様子がわかるモニター状況。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

こちらは小学1年生。家の畑でとれたパパイヤを見せています。マレーシアではパパイヤよりドリアンが人気のようです。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

こちらは小学2年生。国語で学習した物語「お手紙」の劇をしているところです。

【スリアリア・スクールの発表の様子】
スリアリア・スクールの児童の発表も多岐にわたる内容で、マレーシアに来たら訪れてほしい名所や観光地、マレーシアの国や食べ物の紹介、絶滅危惧種について、学校で学習した映画、自作のクラフトや絵の紹介など、とても幅広い内容での発表を行ってくれています。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

スリアリア・スクールの児童の発表内容。マレーシアに来たら訪れてほしいところの紹介してくれています。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

マレーシアの伝統的な遊びを紹介してくれています。

 

②児童の様子

【スリアリア・スクールの児童の様子】
奈良育英小学校の児童が、簡単な日本語を教えたときは、スリアリア・スクールの児童も慣れない発音ながらも「こんにちは」「さようなら」などと練習してくれました。また、日本で人気のキャラクターを折り紙で折ったときや日本のアニメを紹介したときなどは、スリアリア・スクールの児童から歓声が上がっていてほほえましかったです。

【奈良育英小学校の児童の様子】
奈良育英小学校の児童は、スリアリア・スクールの学校の様子やマレーシアの名所、きれいなビーチなどの写真に「行ってみたい!」「すごい!」など歓声をあげていました。プログラミングで歌やゲームなどを作ったり、起業について学習し実際に商品を販売したりする活動などを紹介してくれました。児童の興味をそそる内容で海外の児童との交流を通して、様々な経験をしてくれています。

この交流活動が開始した4月当初は、カメラに向かって英語を話すことに躊躇する姿もありましたが、回を重ねるにつれて堂々とゆっくり大きな声で話せるようになってきています。最近では、きちんと相手に伝わっているかにも気を付け、より分かりやすく伝える工夫ができるようになってきていて、児童の成長が頼もしいです。まだまだ簡単な英語表現しか知らない中でも、自分で英語のフレーズを調べたり、言い方を練習したりしてどの学年も熱心に取り組んでいます。奈良育英小学校の担任教師や英語科講師が中心となり準備を進めていますが、基本的には子どもが発表したい、伝えたいと思うものを題材に取り上げるようにしています。

 

SOJに取り組むことで感じる
効果や今後の展望

①効果

【英語学習の動機付け・意欲付け】
小学校の英語学習では、児童が意欲的に取り組めるように、単語やフレーズの単純な反復学習にならない工夫が必要だが、このスピークアウトジュニアの活動は、児童が英語を学んでいく動機付け、意欲付けにつながっています。本活動では、実際に英語でコミュニケーションを取ることができる海外の同年代の相手がいることで、その相手について、名前や好きなものなどにとどまらず何に興味を持ちどんな暮らしをしているのか、どんな学校生活を送っているのかなどを、自分と対比させながら知ることができ、また、もっと知りたいという興味関心を持つことができています。同時に、自分自身について、自分たちの学校生活について伝えたい、教えたいという思いも湧いてきていて、「相手を知りたい、相手に伝えたい」という児童の思いが、自分で英語表現を調べたり話したりする姿勢につながっています。

【実際の英語のコミュニケーションでの達成感】
自分たちの発表がうまく伝わったり、喜んでもらったりすることで、「自分の英語が通じた」「一緒に○○ができた」という達成感になっています。クイズや折り紙活動などでは、双方向のやり取りができており、画面越しに海外の児童とリアルタイムに学びを共有できています。また、異国の人々や学校の様子、行事や学習内容の違いなど、この定期的な活動を通して、「海外の異文化」を肌で感じることができるのも児童にとっては貴重な経験となっています。

【異文化理解・多様性の受容】
このように、様々な内容にて、海外の異文化に触れることができることで、自分たちと異なる行動様式や考え方なども、「そういうやり方もあるのか」「そういう考え方やとらえ方もあるのか」などと児童ならではの受け止め方ができていて、まさに多様性の受容につながっています。

②今後の展望

高学年では、小グループでの活動も開始したところですが、グループの仲間同士でより協力し、お互いに理解しあい、より深く豊かな海外交流にしていきたいと考えています。英語を実際に活用するコミュニケーションの道具として捉え、躊躇なく英語を使って相手に思いを伝えられるよう、どんどん経験を積んでいけるように進めていきます。そして、海外の異文化や価値観の違いや多様性を学び、受容し、理解した上で、自分の意見もしっかり伝えられる強いメンタリティーを養っていきます。世界に出ても負けないこどもになれるように。

 

次回の「Vol.26」は1月14日(金)にお届けします。お楽しみに!

関連特集
>>【玉井式教育学III】– Vol.24 – 玉井先生が考える「グローバル教育」とは
>>【玉井式教育学IV】– Vol.26 – 奈良育英小学校特集② 海外交流(スピークアウトパーソナル)