子どもたちの未来へつなげ「ぱーぷるmirai」

子育て情報も配信!奈良のタウン情報アプリ「ぱーぷる」

  • 子どもたちの未来へつなげ「ぱーぷるmirai」 App Store
  • 子どもたちの未来へつなげ「ぱーぷるmirai」 Google play
  • 子どもたちの未来へつなげ「ぱーぷるmirai」 instagram
  • 子どもたちの未来へつなげ「ぱーぷるmirai」 Facebook

特集

【玉井式教育学IV】– Vol.27 – 奈良育英小学校特集③ プレゼンテーション

2022年1月21日

【玉井式教育学IV】– Vol.27 – 奈良育英小学校特集③ プレゼンテーション

これからの子どもたちは、これまでよりも世界に目を向けなければいけない時代を生きることになります。今のままの教育で良いのか、変わっていかなければいけない点は何なのか。グローバル時代を生きる子どもたちの成長のために、どのような価値観が必要なのでしょうか。
何のために教育するのかという、教育の価値観をしっかり持って、「親が笑顔でいること」「子どもへ何よりも愛していると伝えること」そして、「花(成果)を咲かせることだけでなく、丈夫な根っこ(土台)を育ててあげること」を大事にする。そう言うのは、「世界に負けない子に育てる」教育を提唱し、独自の能力育成教材を開発し続けてきた玉井満代先生。

玉井先生の考える子育てと教育について、48回にわたり、さまざまな視点でお届けします。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

《教えてくれたのは》
(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ
代表取締役 玉井満代さん

京都市生まれ、ICT教材クリエイター・脚本・演出家。20年にわたる全国数百の学習塾での指導経験を生かして、学校、またインド、ベトナム、シンガポール等で続々と導入されている「玉井式 国語的算数教室®」「玉井式 図形の極®」など、パソコン・タブレットを使用して学習する教材を全国展開。2021年現在、日本全国で24,000人が学習しており、有名私立小学校・大手学習塾・幼稚園・保育園及び学童などで広く活用されている。また、インド著書には「世界に出ても負けない子に育てる」(青春出版社)他。国内外での年間講演回数は120回(2018年度)を超える。洛南高等学校附属小学校で「玉井式 図形の極®」が授業カリキュラムとして取り組まれている。また、2021年度より、奈良育英小学校(現 奈良育英グローバル小学校)の副校長に就任。

>> TAMAISHIKIオフィシャルサイト
>> 奈良育英グローバル小学校

 

– 編集部 −
奈良育英小学校特集の3回目は「プレゼンテーション」。
子どもたち自身が興味を持って調べたことについて、自分の考えや意見をもって、自分の言葉で発表し、正しく判断する能力を養う取り組みです。
学年ごとにステップアップしていくこの取り組みにおける子どもたちの様子や得られる効果、また今後の展望について教えていただきました。

<プレゼンテーション>の特長

奈良育英小学校では、小学5年生から社会科と情報を合わせて「プレゼンテーション」としています。身近な事象から現在の日本や海外の社会が直面する問題などについて、常に自分の考えや意見をもって、正しく判断する能力を養うことを目的としています。 「プレゼンテーション」としての授業は5年生からですが、低学年からも、生活科や社会科を軸としてプレゼンテーション能力を伸ばすカリキュラムを組んでいます。

小学1年生が取り組んでいるのは「ベーシックアドバンス」です。自然の中で、子どもたち自身が見つけた植物や生き物を持って来て、友達の前で発表を行います。「どこで見つけたのか」「どのようにして捕まえたのか」「自分が気付いたこと」などを自分の言葉で発表することで、プレゼンテーション能力を身に付けます。また、友達の発表を聞いたあとには、その発表に対して質問をする機会も設けます。そうすることで、自分が発表する時にどのようなことを伝えたら良いのかも学ぶことができます。

小学2年生から小学4年生では「アドバンス」として取り組みます。本校では、一人に1台のタブレットが支給されていますので、学年が上がるにつれて自分が調べたことや学習で学んだことをつけ足していき、よりプレゼンテーションに近い形になっていきます。子どもたちはタブレットを活用して情報収集を行い、調べたことや自分の考えをプレゼンテーションにまとめていきます

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

プレゼンテーションは、調べたことをインプットするだけではなく、その情報を整理してアウトプットしなければなりません。大切なのは、「どのくらい情報を集めるのか」ではなく、「集めた情報をどのように活用するのか」ということです。自分が集めた情報の中には、重複しているものやテーマから外れているものもあるかもしれません。多くの情報の中から自分に必要な情報を選ぶ、という情報リテラシー能力も必要になってきます。この能力は、自分が何度もプレゼンテーションを経験したり、友達のプレゼンテーションを見たりする中で他者から学ぶものなので、多くの機会を設けることでプレゼンテーション能力の定着をはかっています。
また、授業の中には、ディベートの機会も多く設けるようにし、友達同士の意見交流を積極的に行える場としています。高学年になってくると、一つのテーマについて「何を調べないといけないか」「自分は何を調べるか」など子ども同士で話し合って意見を出し合い、プレゼンテーションのイメージを持ってから調べ学習に入るようになります。

実際の授業での児童の様子

授業での子どもたちの様子として、小学6年生の取り組みを1つ紹介させていただきます。
5・6年生の秋の遠足で、薬師寺・唐招提寺の見学に行くことになりました。本校では、クラブ・グループ活動や朝の掃除など、普段から縦割りグループの活動を取り入れているので、5年生も6年生もお互いをよく知っています。さらに、今年度は一人に1台のタブレットが支給されたこともあり、唐招提寺での見学を、学年ごとに見学するのではなく縦割りのグループで見学し、6年生が5年生に、唐招提寺についてプレゼンテーションすることにしました

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

遠足の内容を6年生に話し、いよいよプレゼンテーションに向けて動き出しました。まず、唐招提寺について一人ひとりが調べた後、グループごとに集まってどこをどのように回るのかを話し合い、それぞれの分担を決めました。そして、プレゼンテーションの準備に入りました。金堂や講堂、鑑真和上御廟など自分が担当するところについて調べていきました。調べたことは、5年生に見せる「資料」と自分が読む「原稿」に分けてまとめていきました。高学年では、「資料」と「原稿」との違いを明確にしてまとめさせています。人に提示する「資料」は、なるべく文字数を少なくし、効果的に画像などを入れます。文字数が多いと何が大切なのかが伝わりにくくなるため、見出し程度にとどめておき、細かい説明は「原稿」で説明します。このように「資料」と「原稿」の違いを明確にしてまとめさせることで、より効果的なプレゼンテーションができるようになります

初めは「どうまとめたらよいのか」と戸惑う様子が見られます。しかし、本校では、様々な教科で積極的にタブレットを活用してのプレゼンテーションを取り入れているため、繰り返し経験したり友達のプレゼンテーションを見たりするうちに、「どうすればよりわかりやすく相手に伝えられるか」を考えて、まとめられるようになっていきます
今回の6年生も、自分がまとめたものをお互いに見せあいながら、「重なっているところはないか」「分かりにくい言葉や表現はないか」を確認しながら作業を進めていました。
そうしながらまとめた資料を最終的にグループのみんなで持ち寄り、中間報告会をしました。中間報告会をすると、回る順番や資料の中身に修正が必要なところが出てきましたので、そこを修正して資料と原稿を仕上げ、当日を迎えました。

唐招提寺でグループごとに並び替え、確認ができたところから出発しました。それぞれのグループの様子を見ていると、少人数で回っていることや6年生がプレゼンテーションをしていることもあってか、5年生も真剣に聞いてくれていました。
遠足から帰ってきた5年生からは「6年生に教えてもらえて唐招提寺がどんなものか分かった」という声が聞こえてきました。プレゼンテーションをした6年生も「緊張したけど、一生懸命に5年生が聞いてくれて良かった」と充実感をもって遠足を終えることができました。「分かりやすくするにはどの順番で、どのような資料を提示していけばいいか」「どんなことを5年生に伝えたら良いのか」など、相手のことを考えて資料や原稿を作り、それが伝わったことが自信や達成感を6年生にもたらしてくれたようです。

 

プレゼンテーションに取り組むことで
感じる効果や今後の展望

まず、低学年からプレゼンテーションに取り組むことで、自分の意見や主張をより効果的に伝える方法を身につけることができるようになります。学年が上がるにつれて資料の中身が充実するだけでなく、何をどの順番で見せればよいのかも考えるようになり、効果的に自分の意見や主張を伝えられるようになっていきます。そうした体験を積み重ねることが自分の自信へとつながっていきます。また、みんなでプレゼンテーションを作り上げることを通して、先を見越し、周りをよく見て作業が進められるようになります。自分がどこまで調べ終わったか、友達が調べているものを見つけた等、子どもたちはグループの仲間と小まめに連絡を取りながら進めていきます。そうすることで、自分たちがどこへ進むのかという道を常に確認しながら、先を見越して活動できます。そして、自分だけでなく、友達が調べているものを見つけたらお互いに教えあい、支え合いながら学習を進めていきます。周りや全体を見て作業できるようになり、周りを気遣うことができるようになります
「表現力」の育成のみならず、「協調性」「思考力」「創造力」も養えていることを実感します。

本校には、高学年集会・低学年集会という集会もあります。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

この集会は、日々の学習の成果を発表する場です。子どもたちは、発表する内容を自分で考え、大勢の前で発表します。自分で考え、自分の言葉で発表する体験はプレゼンテーションにも似ています。

様々な学校独自の取り組みを通して、相手の意見を尊重した上で自分の意見や主張をしっかりと『他者に伝える』ことできる育英っ子の育成に繋げていきます。

 

次回の「Vol.28」は1月28日(金)にお届けします。お楽しみに!

関連特集
>>【玉井式教育学IV】– Vol.26 – 奈良育英小学校特集② 海外交流(スピークアウトパーソナル)
>>【玉井式教育学IV】– Vol.28 – 奈良育英小学校特集④ KIWAMI AAA+図形の極®