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特集

【玉井式教育学V】– Vol.31 – 英語力で子どもの未来が大きく変わる

2022年2月18日

【玉井式教育学V】– Vol.31 – 英語力で子どもの未来が大きく変わる

これからの子どもたちは、これまでよりも世界に目を向けなければいけない時代を生きることになります。今のままの教育で良いのか、変わっていかなければいけない点は何なのか。グローバル時代を生きる子どもたちの成長のために、どのような価値観が必要なのでしょうか。
何のために教育するのかという、教育の価値観をしっかり持って、「親が笑顔でいること」「子どもへ何よりも愛していると伝えること」そして、「花(成果)を咲かせることだけでなく、丈夫な根っこ(土台)を育ててあげること」を大事にする。そう言うのは、「世界に負けない子に育てる」教育を提唱し、独自の能力育成教材を開発し続けてきた玉井満代先生。

玉井先生の考える子育てと教育について、48回にわたり、さまざまな視点でお届けします。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

《教えてくれたのは》
(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ
代表取締役 玉井満代さん

京都市生まれ、ICT教材クリエイター・脚本・演出家。20年にわたる全国数百の学習塾での指導経験を生かして、学校、またインド、ベトナム、シンガポール等で続々と導入されている「玉井式 国語的算数教室®」「玉井式 図形の極®」など、パソコン・タブレットを使用して学習する教材を全国展開。2021年現在、日本全国で24,000人が学習しており、有名私立小学校・大手学習塾・幼稚園・保育園及び学童などで広く活用されている。また、インド著書には「世界に出ても負けない子に育てる」(青春出版社)他。国内外での年間講演回数は120回(2018年度)を超える。洛南高等学校附属小学校で「玉井式 図形の極®」が授業カリキュラムとして取り組まれている。また、2021年度より、奈良育英小学校(現 奈良育英グローバル小学校)の副校長に就任。

>> TAMAISHIKIオフィシャルサイト
>> 奈良育英グローバル小学校

 

– 編集部 −
第31回目のテーマは、子どもたちに必要な「英語力」。
これからは、今以上に日本のみならず世界を視野に入れた未来を考え生きる時代となっていきます。英語を話すことの一番大切な根幹は何でしょうか。
また、玉井先生が考える親としての姿勢、世界の英語教育、今後の日本の英語教育のあり方について、お話しいただきました。

自分の考えを持ち、
英語で話せることに意味がある。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

英語は言語であり伝えるためにあるわけですから、何よりも“自分の考えを持つ”ということが大事です。例えば、英検2級・準2級の英検のテストは合格できるけれど、「その習った英語で、自分の考えを言ってごらん」となるとどうでしょうか。準2級ならたくさんの単語も文法も知っているはずです。しかし、「それを使ってあなたの考えを伝えてみて」となった途端に黙ってしまうとすると、考えそのものがまとまっていないことになってしまいます。ですので、やはり自分の考えをしっかり持って英語で表現できるようになると、とても強いと思います。

私自身、今になって残念に思っているのは、日本語では伝えたい言葉がたくさん出てくるんですが、英語では自然に出てこないことです。通訳の人がどれほど優秀でも英語の使い方によってニュアンスが違ってくるので、「間違ってはないけれど、私が言いたかったことはその単語では少し違うな」という時もあるんです。そう考えると、やはり日本語のように、自分自身で英語をしっかり選んで話せるようになればいいなと思っています。

例えば、「それ本気で言ってるの?」と聞きたいときに、「Are you serious?」と言うと、ビジネス上なら「喧嘩を売っているんですか?」という意味にもなります。でも、これが友達同士だったら「え?マジ?」くらいの普通の会話になってくると思います。このようにシチュエーションに応じて的確に言えるようになれば、コミュニケーションがスムーズになり、ビジネスのスピード感も違ってくるだろうと思います。
ビジネスで必要となる専門用語などは大人になってから学習すればいいと思います。また、海外ドラマなどを英語で見たりすると、「こういう言い回しをするんだな」と教科書では学べない会話の流れがたくさんあります。そういった、より深い英語は大人になってからでも良いと思いますが、子どものうちに英語に自信がなくなるようなことにならないで欲しいと思います。

 

子どもの力を信じて焦らず「待つ」。

英語力において親御さんに一番知って欲しいことは「待つことの大切さ」。そこを日本の教育では、「今日は単語を10個覚えましょう。そしてそれを書きましょう」と課題を出し、そして、「出来ましたか?」「わかりましたか?」「さぁ言えますか?」と進めていき、終わったら安心してしまうのですが、本来の英語教育はそうではなくて、子ども自身から言葉が出てくるまで待つことがとても大切です。

奈良育英小学校では、タブレットを通してフィリピンの先生と一対一でパーソナルレッスン(スピークアウトパーソナル)を行ったり、マレーシアの子どもたちと交流したりしています。
例えば、こういうことがありました。昨年の4月からスタートした初めてのスピークアウトパーソナルでフィリピンの先生が子どもと話そうとしても、子どもから一言も言葉が出なかったり、「Hello」くらいしか言えなかったりと、先生が一生懸命に話しかけても、子どもは「うーん」と首をかしげている。それを参観で見たり、家で英語の練習している時に横で見たりしていて、親御さんたちが「うちの子、何にも喋れないじゃない」「こんなの意味あるのかしら、英語嫌いになってしまうんじゃないかしら」と不安に思われたことがあったんです。しかし半年くらい経ってくると、「今日は話せて嬉しかったです」という子どもたちの声が日記などから出てくる。見事に子どもたちが「話せて嬉しかった」と変化していくのです。
これは何を示しているのかと言いますと、子どもの「本当の自信とは何なのか」ということを大人がしっかりと考えないといけないのです。子どもは本来とても賢いもの。だからこそ、「自分が本当にできたこと」にしか自信を持たないのです。大人が逐一段取りをして「こういう時はこう言いなさい、ああ言いなさい」と教えて言えるようにしても、本当の自信にはつながりません

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

マレーシアの子どもたちとの交流会でも、事前に先生が自分の好きな物を「 I like ○○〜」と言いなさいなど決めて教えていれば言えるとは思います。しかし、それは子どもたちの本当の自信につながるわけでないのです。
では、どうしたら良いのか。それは「しどろもどろになってもいいから、伝えたいことを自分で考えて言ってごらん」と促してあげます。そうすると自分たちで考えて話してみるでしょう。でも、うまく通じなかったとなるわけです。そうしたら「何で通じなかったんだろう」とみんなで話し合い、「今度はこう言ったらいいんじゃない?」とまた自分たちで考える。話してみてやっと通じたら、「わぁ通じた!」と盛り上がる。大人はこの経過を待つことが大切なのです。このような経験をいっぱい子どもに積ませていくことが大事なのです。
ですので、親御さんには「話せなくて良いから黙って見守ってください」と話しています。そして、子どもたちには「私たちは日本語の国民だから、すぐに話せなくて当たり前だよ」と伝えています。

子どもをもっと信じて待って欲しいと思います。「待つ」というのは、私たち大人は本当に苦手です。できないということに対して焦ってしまうものですから。しかし、話せない子を見て、大人が「これを言ったらどう?あれを言ったら?」と口を出していると、そのうち子どもは「例文を教えてくれないから言えない」と、逆効果になってしまいます。海外に行けば自分から話していくことが必要にもなります。

子どもたちが何とか自分の中から絞り出して話したことが通じて初めて、成功体験として身に付き本物の自信が持てます。「通じた!」が3回くらい続くと自信がつき、エンジンが動いていくのです。
また、子どもによって話せるようになる時期はさまざまですし性格にもよります。間違えていても喋るのが好きな子もいれば、慎重派の子や恥ずかしがり屋さんもいます。いろんな子がいる中で、話せないからといって英語がわかっていないわけではなく、頭の中に溜めている子もいっぱいいるのです。
子どもの成長のためには、アウトプットできるまで待つことが重要なのです。

海外と日本の英語習得への意識の差

インドなどは、「英語が喋れないと就職できないし貧しくなる」と幼少期に叩き込まれます。もちろん話せない人もいます。田舎の人で年代的に60歳以上だと必要がなかった場合もあります。ヒンディー語しか喋れないおばあちゃんおじいちゃんと英語を話せる子どもたち。その中間に親がいて、インドも今ちょうどグローバル化の過渡期になっています。インドは仕事をするためには英語がマストになってきているので、裕福でない家庭でも子どもに教育費をかけています。ですので、子どもたちは必死で勉強し、喋れるようになっています。

日本人が「英語を勉強してきたのに喋れない」というのは、日本国民が必要性を感じていなかったのだと思います。学校で週1〜2回勉強したら英語を話せるようになるというのは大きな間違いです。それは無理でしょう。英検にしてもパターンが決まっているので対策ができます。対策だけしておけば良いので、英語が話せることにはつながりません。英語が話せるようになるには、日本は学ぶ時間が全然足りていないと思います。
もちろん、どの国にも言えることは母国語を大事にしています。母国語を大事にせず、英語だけに力を入れている国はありません。

インドは小学校から英語で全て授業をします。日本も「小学校からすべての科目を英語でやります」となったら必死に英語を学ぶでしょう。でないと、各科目がわからなくなりますよね。しかし、これくらい舵を切らないと英語は身につかないと思います。 インドは12〜13年前から全国的に英語で授業しています。そうは言っても、小学1〜2年生だとまだ英語はわからないので、英語で授業をしながらも、ヒンディー語で捕捉しています。そうして学年が上がると全て英語になっていきます。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

日本もそうなれば・・・と思いますが、今の日本では英語で授業ができる先生が少ないため難しいでしょう。日本で「英語で授業するように」と変えたくても、「教職員はどうしたら良いのか」という問題が出てきてしまいます。

現実的に日本の英語教育を変えるとしたら、これから大学を卒業して教員になりたい人たちは、英語でも算数や理科を教えられるよう大学で履修してもらう必要が出てくるでしょう。国語や日本史はわざわざ英語で教える必要はないですが、算数や理科といった教科については、若い先生たちが英語で教えられるようになっていけばいいと思います。

日本人にとって国語はとても大事です。国語は国語でもっと頑張らないといけないと思っています。しかし、これから先生になっていく人たちが、英語でも授業ができるよう国が定めるくらいの危機感で英語教育をやっていくべきだとも思います。子どもたちがどの国に行っても、働いて生活をしていけるように。

 

次回の「Vol.32」は2月25日(金)にお届けします。お楽しみに!

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