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特集

【玉井式教育学V】– Vol.35 – インドの教育が面白い理由①

2022年3月18日

【玉井式教育学V】– Vol.35 – インドの教育が面白い理由①

これからの子どもたちは、これまでよりも世界に目を向けなければいけない時代を生きることになります。今のままの教育で良いのか、変わっていかなければいけない点は何なのか。グローバル時代を生きる子どもたちの成長のために、どのような価値観が必要なのでしょうか。
何のために教育するのかという、教育の価値観をしっかり持って、「親が笑顔でいること」「子どもへ何よりも愛していると伝えること」そして、「花(成果)を咲かせることだけでなく、丈夫な根っこ(土台)を育ててあげること」を大事にする。そう言うのは、「世界に負けない子に育てる」教育を提唱し、独自の能力育成教材を開発し続けてきた玉井満代先生。

玉井先生の考える子育てと教育について、48回にわたり、さまざまな視点でお届けします。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

《教えてくれたのは》
(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ
代表取締役 玉井満代さん

京都市生まれ、ICT教材クリエイター・脚本・演出家。20年にわたる全国数百の学習塾での指導経験を生かして、学校、またインド、ベトナム、シンガポール等で続々と導入されている「玉井式 国語的算数教室®」「玉井式 図形の極®」など、パソコン・タブレットを使用して学習する教材を全国展開。2021年現在、日本全国で24,000人が学習しており、有名私立小学校・大手学習塾・幼稚園・保育園及び学童などで広く活用されている。また、インド著書には「世界に出ても負けない子に育てる」(青春出版社)他。国内外での年間講演回数は120回(2018年度)を超える。洛南高等学校附属小学校で「玉井式 図形の極®」が授業カリキュラムとして取り組まれている。また、2021年度より、奈良育英小学校(現 奈良育英グローバル小学校)の副校長に就任。

>> TAMAISHIKIオフィシャルサイト
>> 奈良育英グローバル小学校

 

– 編集部 −
第35回目のテーマは、「インドの教育」について。
今後、世界を席巻していくと言われるインド。国として急成長の中、子どもたちへはどのような教育をされているのでしょうか。また、日本とインドの英語習得への取り組みの差についてもお話しいただきました。

急成長しているインドの教育って?

急成長しているとはいえ、インドはカースト制があるため格差はまだあります。20年くらい前まではカーストが下位の人は勉強しても大学にも入れなかったんです。しかし、インドのモディ首相は非常に教育に力を入れていまして、この20年で大学の門戸が開かれ、カーストの下位の人も世帯所得の多くを教育費にかけるぐらい子どもの教育に力を入れ始めました。そのように、全てのカーストの人たちに教育の門戸を開くようになり、やっと現在のインドがあるのです。
最近では、CBSE(Central Board of Secondary Education ※1)というインドの教育カリキュラムに向けて指針が出されていて、全国的にどんどん集約しようとしています。インドは、州ごとが国のように分かれているため、教育方針が統一されていませんでしたが、これからこのCBSEに集約しようとしているようです。

※1 インド式の教育システムで世界でも優れた教育制度と言われている。

インドの玉井式では「KIWAMI Japanese」という授業で日本語を教えています。というのも、CBSEの中に日本語のテストができたんです。そのテストに向けて教えて欲しいという要望が出たくらい、各学校がCBSEに合わせようとしています。
日本では文科省が指針を出し、それに準拠した教科書を作る会社がありますが、同じようにインドもCBSEに向けた教育指針を出し、それに基づいて教科書を作る会社がいっぱいあります。
国として指針は出していますが、学校によって使われる教科書もいろいろですし、子どもにご飯を食べさせるための学校から日本でも見ないほど私立の美しい学校など、まだ格差が大きい。また、実はインドでは、日本と違って学校の先生は教員免許がいらないんです。それぞれの先生が、CBSEのカリキュラムに合わせながらも自分の考えで授業をしているといった感じです。ですので、日本のように「一人ひとりの能力を伸ばそう」といったことを言うのは、まだ難しいかもしれません。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

とはいえインドの成長の背景には、教育レベルを高くするためIT系を強くしていることがあるでしょう。宇宙工学やサイエンスアンドマスマティックス、化学など、理系のSTEAM教育(※2)を進めようとしていますね。

※2 Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)のそれぞれの単語の頭文字をとったものです。 科学、数学、芸術領域に力を入れる教育方針、教育方法のこと。

国力と留学の関係性

私がインドに行った理由は、「今後はインドが世界を席巻するに違いない」と思ったからです。そのインドという国がどこに向かって教育するのかを知らないで、日本の中だけで「目指せ!東大!」と教育していても発展がないと考えたのです。

今から子どもたちを世界へ送り出していくなら、これからどの国が強くなるかを知る必要があります
かつては「日本の東京大学に留学したい」と思った世界の人たちもたくさんいたと思います。しかし残念ながら、日本への留学生がそれほど多くなかったのは、英語での授業が少なかったからなんです。今やっとそれに気がついて、大学でも英語の授業を増やしていますが、すでに日本のプレゼンスが落ちているわけです。
今では、これから発展する東南アジアの人たちが日本に学びに来てくださっていますが、これからは逆に東南アジアの大学に行く日本人ももっと出てくるでしょう。また、インドの大学で ITを学びたいという人も出てくるでしょう。このように、国内の大学だけを考えて教育する時代ではなくなっているのではないでしょうか。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

 

日本とインドの英語力の差

インドは「英語ができないと、なりたい職業につけない」といったシステムになっています。
例えば、タクシードライバーになるにしても英語はマストです。それぐらい英語が普通の科目になっています。世界の人々は、食べていくために普通に英語を学ぶわけです。日本では、「英語ができないと食べていけない」というイメージが少ないため、とてもスローに英語を教えています。

最近のある記事で、英語ができる人とできない人の所得格差が紹介されていましたが、これからの時代はもっと所得格差が出ると思います。「アプリやネットですぐ翻訳できますよね?」という人もいますが、それで会話がテンポ良くできますか?という話です。 たとえ翻訳ソフトが役に立つとしても、「それがないと会話が分からない」より、自分で分かったほうが良い場面も多々あるのではないでしょうか。言葉というのは本当に大切です。これから生まれてくる子どもはもちろん、今の子どもたちも英語はマストと思って取り組んでいかないと活躍する場が減っていくのではないかと思います。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

インドは数年前から「小学校の授業を全て英語でする」と切り替えたんです。最初は一部の学校だったのですが、インド全土で切り替えて、歴史と国語以外は全て英語で授業するようになりました。そうすると、自主的に英語を学ぼうとする子どもが増えました。英語で授業するわけですから当然のことですよね。
今の日本は小学3年生から「英語を学びましょう」と授業が始まりますが、そういったレベルの話ではなく、「英語ができないと算数もできない」というまでにカリキュラムを変えてきたインドとでは、全く覚悟が違うなと思います。

 

次回の「Vol.36」は3月25日(金)にお届けします。お楽しみに!

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