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特集

【玉井先生が伝えたいこと】– Vol.39 –「奈良育英グローバル小学校」の教育

2022年4月15日

【玉井先生が伝えたいこと】– Vol.39 –「奈良育英グローバル小学校」の教育

これからの子どもたちは、これまでよりも世界に目を向けなければいけない時代を生きることになります。今のままの教育で良いのか、変わっていかなければいけない点は何なのか。グローバル時代を生きる子どもたちの成長のために、どのような価値観が必要なのでしょうか。
何のために教育するのかという、教育の価値観をしっかり持って、「親が笑顔でいること」「子どもへ何よりも愛していると伝えること」そして、「花(成果)を咲かせることだけでなく、丈夫な根っこ(土台)を育ててあげること」を大事にする。そう言うのは、「世界に負けない子に育てる」教育を提唱し、独自の能力育成教材を開発し続けてきた玉井満代先生。

玉井先生の考える子育てと教育について、48回にわたり、さまざまな視点でお届けします。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

《教えてくれたのは》
(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ
代表取締役 玉井満代さん

京都市生まれ、ICT教材クリエイター・脚本・演出家。20年にわたる全国数百の学習塾での指導経験を生かして、学校、またインド、ベトナム、シンガポール等で続々と導入されている「玉井式 国語的算数教室®」「玉井式 図形の極®」など、パソコン・タブレットを使用して学習する教材を全国展開。2021年現在、日本全国で24,000人が学習しており、有名私立小学校・大手学習塾・幼稚園・保育園及び学童などで広く活用されている。また、インド著書には「世界に出ても負けない子に育てる」(青春出版社)他。国内外での年間講演回数は120回(2018年度)を超える。洛南高等学校附属小学校で「玉井式 図形の極®」が授業カリキュラムとして取り組まれている。また、2021年度より、奈良育英グローバル小学校の副校長に就任。

>> TAMAISHIKIオフィシャルサイト
>> 奈良育英グローバル小学校

 

– 編集部 −
この4月、「奈良育英小学校」は「奈良育英グローバル小学校」と学校名が新しくなりました。
第39回目のテーマは、その名前に込められた教育理念や想いについて。また、「奈良育英グローバル小学校」はどんな学校を目指し、どのような教育を行うのか、玉井先生のお考えを教えてもらいました。

校名改称と「建学の精神」

日本の学校は、髪型や下着の色など過度な統制を行う傾向があります。「運動会」という行事を学校で開催しているのも、実は日本と北朝鮮と台湾くらいなんですが、元々運動会は、行進して笛が鳴ると一斉に止まるといった整列をとおして、子どもたちの統制を取るための目的がありましたから、欧米の教育関係者が日本の教育現場で運動会を目にすると、みなさんとても驚きます。

北欧の先生方が日本の学校を見に来られて運動会を見た時に、「これって子どもたちは楽しいんですか?なぜここまで順位を決めるのですか?」と質問をされたそうです。日本の先生は「一番を取るためにがんばる努力が必要です」というようなことを答えたのですが、北欧の先生は「本来スポーツをする目的は1等、2等を取るためではなくて、自分の長い人生の中で身体を動かすことは楽しく、健康のためにも重要だということを知るためです。日本においてスポーツの目的は何なのでしょうか?」というようなことをおっしゃったそうです。
人生の中で身体を動かすことは大切ですし、それを小さいうちに楽しくて必要なものだとわかるための体育の時間なのに、どうしてこんな軍隊のようなことをしているのか、という指摘なのですが、日本は一度型にはめると、それを自主的に変えることがしにくいように思います。

その話に繋がるのですが、実は「奈良育英グローバル小学校」と名前を変えることになった際、変えたくないとのご意見もありました。しかし、名前とは何なのかを考えた時、例えば、親が子どもに名前をつける場合は「こうなって欲しい」という想いを込めてつけるものですよね。ですので、学校名を変えることによって、私たち教職員もより身を引き締めて、子どもたちへ伝えていきたいことがありますし、いろいろな想いがあるんです。現在よりも確実にグローバルな社会で生きていく子どもたちに、狭い枠組みや型にはまらなくていいんだよ、というメッセージを伝えたい。そんな想いが新しい学校名には込められています。

一方、奈良育英小学校は長い伝統のある学校です。その小学校を、私たちは別にインターナショナルスクールにしたいのではなく、創立者の先生たちが作られた「建学の精神」を守ることを大事にしていきたいと考えています。
学校によっては、「建学の精神」よりも進学率を重要視するところもありますが、私は私立学校というのは、それの作られた理念こそが最も重要だと思っています。奈良育英小学校には「育英誓願」という誓いがありまして、それを読むとまさに「グローバル」な視点が謳われています。釈迦、孔子、ソクラテス、キリストという世界の偉大な思想家・哲学者を敬っており、それらの精神を尊重しながら、学びを大切にして自分を信じて生きていくといった内容です。

「グローバル」という言葉は、上下関係もなく、世界の大国も小国も関係のない自由で開かれたイメージです。「インターナショナル」という言葉になると、悪い意味ではありませんが、国際関係といった意味合いも出てきて、例えば、英語ですべての授業を行うなど、英語という語学ありきのイメージが先行するように思います。
私たち奈良育英グローバル小学校は「建学の精神」を核心としながら、「日本型トランスリンガル」という、あくまで日本人としての考え方や文化を大事にした上で、世界で生き抜くために必要な英語教育をしたいという考え方なのです。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

 

「グローバル」という言葉に込めた想い

学校名に「グローバル」という言葉が入ることについて、子どもたちとも対話をしました。「グローバルとはこういう意味で、学校はこう変わるんだよ。君たちが世界で活躍できるよう、そんな想いを込めているんだよ」とちゃんと伝えたら、「僕たちが他のみんなに教えてあげるよ!」と言ってくれました。対話を通して子どもたち自身が理解してくれたのを、とても嬉しく思いました。

私は、海外を回りながら本当の教育を追求し、自分の経験の範囲だけではなくて、もっと広く世界を見て教育に反映させたいと思っていますし、それが私の使命観です。
何より、子どもたちが楽しいと思って学べることが大事だと思っています。ワクワクしながら学べることです。奈良育英小学校に玉井式が導入されてから、外国の先生とオンラインで交流したり一対一で会話したりする授業、プレゼンテーションの授業などが始まり、来年には英語で算数に触れ合う授業も始まります。実際、子どもたちはすごく楽しいと言ってくれています。

先生たちにも伝えるのですが、学校運営において見失ってはいけないのが、子どもたちが安心・安全な気持ちで、「今日は何を教えてくれるのかな」「何が起こるかな」とワクワクしながら学校に来てくれることです。そのために、できるだけ良い教材や良いコミュニケーションツールを提供することが私たちの最大の目的です。そこに向かって一生懸命努力していけばいいのではないでしょうか。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

「グローバル」という言葉に込めた想いというのは、もっと子どもたち一人ひとりの強みを生かせるように導きたいということにあります。決められた範囲での偏差値教育や狭い枠組みの学びから飛び出して、「何が学びたい?」「どんな授業がしたい?」と、子どもたちにも聞きながら進めていきたいと思います。例えば、子どもたちに「どういう人に会いたい?」と聞いて、「NASAの宇宙船に乗っている人に会いたい!」と言ったら、「どうやったらそれを実現できるか考えてみよう!」といった具合に。実際にそれが実現できなくても良いのです。子どもたちと一緒に考える時間を取ることが大切なのです。
多くの場合、大人が全部セッティングして授業を決めてしまいますが、今後、奈良育英グローバル小学校では、どんな授業を受けたいか子どもたちの意見を聞いて、それを実現していきたいと思っています。大人はあくまでもそのサポーターです。そういった自主性のある学びの時間をたくさん取れたら良いと思います。

さらに進化する奈良育英グローバル小学校

文部科学省が「探求」の授業の重要性を言うようになっていますが、まさに奈良育英グローバル小学校では、それができているなと思うことがあります。近所を流れる佐保川に入って生き物を採ってきて、その生き物についてみんなでディスカッションすることもあります。学校の近所で畑をされているおじいちゃんおばあちゃんが、採れたものを生徒全員にくださるんですが、いただいた野菜の匂いを嗅いだり、触ったりと感覚を磨きながら、感謝して食べるといったことができています。単なる理科の授業として決まりきったことを習うだけではなくて、このような生きた現場が学校の身近にあるところが良いですね。

また、小規模校だからこそできることがあります。一番良いなと思っていることは、6年生が1年生の面倒を一対一で見るパートナー制度があるんです。一年間の担当が決まっていて、6年生は1年生の学校生活や駅からの送り迎えなど面倒を見るのですが、それが長年続いているんです。6年生が卒業する時には、パートナー同士お互いに手紙を渡し合っています。学年を越えて生徒全員が顔を覚えられますし、とても素敵な制度です。
「小規模校だと、人間関係がこじれたら…」と心配される親御さんもいるのですが、実際は、少人数だからこそパッと話し合って解決できたり、ちょっとした小競り合いで済むことも多いのです。子どもの頃には小競り合いくらいあったほうが良いと思うんです。例えば、「仲の悪い子と同じクラスにさせないで」と思われる親御さんがいるかもしれませんが、仲の悪い人間と同じ環境にいるのが嫌だったら、これからの人生をたくましく生きていけないのではないでしょうか。ですので、子どもたちには正直に伝えています。「誰しも嫌いな人はいるものだよ。みんなが仲良しとか、みんなが友だちといったことはないものだよ」と。けれど、同じ学校の同じクラスにいる以上、それは「チーム」なのだから、嫌いだろうが仲が悪かろうが、意地悪や仲間はずれをしてはいけないし、意見が違うなら話し合わないといけない。そういう「チーム」という感覚をしっかり育みたいなと思います。

(株)タマイ インベストメント エデュケーションズ 玉井満代先生

奈良育英グローバル小学校の先生はベテランの方が多いのですが、固定観念に凝り固まった人がいないんです。「名前が変わるんだから、さらにがんばろう」と努力されています。そして、カリキュラムなどに疑問点があれば、ちゃんと言ってくださいます。例えば、国語的理科という授業では、映像でいろんなものを見て勉強するのですが、先生たちは体験を一番大事にされているので、映像を見て勉強することがちょっと不安です、というご意見があったんです。もちろん、実験したり実際に体験しに行ったりすることが理科の場合は大事なのですが、一方、理科というのは体験できないこともたくさんあるのです。例えば、宇宙のことを学ぶとき、体験しようとしても難しい部分がありますよね。そうした場合に映像があれば、子どもたちがもっと興味を持つかもとおっしゃってくださり、話し合いを重ねる中で、実際に体験できることには限りがあることを納得してくださいました。
映像教材の有効性については、実際に子どもたちが興味を持ったり、さまざまなことができるようになったりするので、それがエビデンスになります。玉井式の教材が広がったのも、実際に子どもたちができるようになっていくからなんです。

新しい学校名のもと、奈良育英グローバル小学校に誇りを持ってくださっている、協力的で前向きな先生たちと一緒に、さらに進化した教育を提供していきたいと思います。

 

次回の「Vol.40」は4月22日(金)にお届けします。お楽しみに!

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